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特別座談会:アパレル業界とコスメ業界の今後

10月24日~26日に渋谷ヒカリエで開催される繊研新聞社主催の展示会「PLUG IN(プラグイン)」に、ファヴールマルシェのmederute(メデルテ)事業部が出展します。今回の展示会では、アパレル業界とのコラボを視野に食品業界やコスメ業界などさまざまな異業種も出展しています。そこで、繊研新聞社 PLUG IN事務局長の中村善春さんと、コスメの開発・販売しているファヴールマルシェの山岸嘉子と松田野須子に、「アパレル業界とコスメ業界の今後」をテーマに対談して頂きました。

日本から世界へライフスタイルを発信

━━まずは「PLUG IN」がどのような展示会なのか教えていただけますか。

中村 もともと00年からファッションビジネスの展示会として「インターナショナル・ファッション・フェア(IFF)」を始めました。その中で、常に日本のデザイナーを育てることが重要だと考えていました。そこで、IFFの中にクリエーターズビレッジというクリエーターのゾーンを作って、出展料を安くして多くのクリエーターが出展できるようにしたんです。ただ、実際には出展できないクリエーターの人たちの方が多く、その人たちのビジネスチャンスを広げるために、06年に始めたのが「PLUG IN」です。文字通り、プラグを指すという意味で、自由に指して世界に向けて羽ばたいてほしいという想いを込めて、現在は年2回開催しています。

━━「PLUG IN」にmederuteが出展することになった経緯は?

山岸 中村さんは「PLUG IN」の他に「JFW-IFF MAGIC Japan」という展示会のマネージャーをされているのですが、そこで名刺交換をさせて頂いたんです。そこから私が無理やり押しかけて(笑)。ファヴールマルシェはドクターズコスメを販売しているので、コスメに関しては実績があるんですけど、アパレルに関しては始めたばかりで、いろいろ教えてくださいってお願いしたんです。そこから今回の展示会のお話を頂きました。

中村 「PLUG IN」はライフスタイルの展示会ということを標榜していたので、洋服だけでなく、化粧品や食品など、いろいろな業種が出展しています。最近は、洋服は全体の4割ぐらいで、残り6割はアクセサリーとか宝石などです。また、今回は鉄鋼会社が運営しているカフェにも参加してもらいます。ですから、山岸さんとお話をさせていただいたときに、化粧品の開発・販売をされている会社とお聞きして、最初はアパレルではなく化粧品で出展していただこうと思ったぐらいです。

松田 アパレルからいろんな広がりをみせて「PLUGIN」を開催されているんですね。

中村 単純な展示会ではなく、もっとブランド化させて日本から世界へライフスタイルを発信していきたいと思っています。特に渋谷はITとファッションの街と言われていますし、2020年には東京オリンピック・パラリンピックがあるので、日本から世界に向けてファッションを発信しきたいと考えています。

繊研新聞社 PLUG IN事務局長 中村善春氏

━━さきほど中村さんからmederuteにコスメとして出展してもらおうと考えていたという話がありましたが、今回はアバレルだけでなくコスメも出展するんですか?

山岸 どういう比率になるか分かりませんが、アパレルとコスメの両方を置こうと考えています。中村さんからも、今アパレル業界はすごくコスメに興味を持っているから絶対に置いた方がいいとアドバイスをいただきました。

松田 出展される企業には、いろいろ相談に乗ったりアドバイスされたりしているんですか?

中村 そうですね。以前は、デザイナーがそれぞれ独自のコンセプトを持っていたので、出展していただければ面白いものが集まってきました。しかし、最近はどうしても売れる物を作るという方向に行きがちで個性がなくなってきているように感じます。ですから、出展者の方に向けた説明会をしたり、工場見学をしたり、いろいろやりながらアドバイスをするようにしています。それに今の消費者は、例えば、あるブランドのショップで何か買いたいと思ったときに、洋服だけではなくて雑貨でも化粧品でもいいわけですよ。異業種とコラボすることで、違う発想や違う客層ができてくると思うんです。それによってアパレル業界も、コラボさせていただいた業界も両方に相乗効果が生まれると思うんです。ですから、いろんなものを置いた売り場を作ることが必要なんです。

━━アパレルだけにこだわるのではなくて、食品やコスメなど異業種を取り入れることで、相乗効果が生まれるというのは面白いですね。

中村 今、お風呂の中で履くストッキングがあるんですけど、圧縮されて足のむくみが取れるらしいです。あとは、電流が通る下着とかもあって、その下着を着ているだけで微弱電流が流れるので、筋肉痛にならないとかマッサージ効果があるとか。そういう新しいものも開発されています。さらにアメリカでは、病気や寿命を予測できる下着が家電製品として発表されているんです。すでに私たちが着ている洋服という概念が変わってきているんですよ。

山岸 発展の仕方がすごい。でも、それもアパレルと家電のコラボみたいなものですよね。そうやって、異業種とコラボすることで、新しいものが生まれてくるんですね。

アパレルもコスメも「綺麗」は共通

━━今回は「アパレルとコスメ」というテーマで対談をさせていただいていますが、どんな可能性があると思いますか?

松田 アパレルもコスメも共通しているのは、自分の魅力向上だったり意識向上だったりすると思うんですね。このジャケットを着ると気分が上がるとか、このコスメを付けると綺麗になるとか。先ほど、中村さんがおっしゃいましたが、同じ売り場にアパレルとコスメを置くことで、このコスメを使えばこの洋服を着てもっと綺麗になれるとか、この洋服を着てこのコスメを使えばもっと気分が上がるとかイメージできると思うんです。そういう場がもっとあれば、すごく意欲が湧いて購買にも繋がると思います。そういう意味では、アパレルとコスメって全く違うものですが、結局は「綺麗になりたい」、「綺麗に見せたい」という部分は共通していると思うので、今後コラボしていったら面白いと思います。

中村 今後は「綺麗」という概念が変わってくると思うんですよ。例えば充実した健康とか。それは長生きをしたいということではないんです。

松田 そうなんですよね。健康寿命とか年齢寿命という言葉がありますが、私はもう一つ「美容寿命」というものがあると思うんですよ。つまり美しくいられる寿命。特に女性は、美容寿命を一日でも伸ばすためにスキンケアをするのであって、そこをアパレルとコラボして相乗効果が出ていけばいいなと思います。

中村 今後は、綺麗という概念を変えることをアパレル業界とコスメ業界がやるべきだと思います。今まで、「綺麗=若い」と言われていましたが、年齢を重ねても年相応に綺麗で健康であることが大事だと思うんです。そうすると「健康」という概念も変わってくると思うんですよ。バブル時代も含めてここ30年ぐらいは、若くて軽くて軽薄でというようなことが若者文化を背景にしたファッション業界やエステ業界を引っ張ってきましたが、これはもう終わっているんじゃないかなと。今は、もっと丁寧に暮らすとか、自分を丁寧に生きるとか、そっちの方向になってきていると思います。綺麗って何? 健康って何? となったときに、若いとか長生きするとかではないと思います。

山岸 コスメで若くとか、良いものを食べて長生きするとかではなくて、生きている間、綺麗で元気にみたいなことですか?

中村 そうです。今後は、ファッションを楽しむとか、コスメを楽しむとかっていうのは変わってきて、新しいカルチャーが出てくると思います。

ファヴールマルシェ プロデュース事業部 松田野須子

━━今のお話を聞いていて、女性の場合は「綺麗」というワードを元にアパレルとコスメのコラボというのがイメージできるのですが、男性の場合はいかがですか?

山岸 今はメンズコスメも充実していますし、男性も肌にこだわっている人とか、スキンケアに興味を持つ人が多いですよね。

中村 そうですね。私もメンズコスメを使いますが、使うか使わないかで年を取ってから、だいぶ違いますからね。

松田 全然違います。特に男性は顕著に出ますよね。ただ最近は、男性、女性だけでなく、ユニセックスの層が増えていますよね。そこがファッションやトレンドのアイコンだったりするので、これからは女性用、男性用と分けずにユニセックス用というものをアパレルもコスメも取り入れて方が面白い商品ができると思います。

中村 そうですね。先ほどの綺麗の概念と一緒で、「男らしい、女らしい」という概念が揺らぎ始めているんですよ。「男らしい、女らしい」というのは社会的なルールが作ったもの、あるいは男性社会の中で女性はこうあるべきだと押し付けているわけじゃないですか。それが変わってくると思います。

山岸 男性、女性にこだわらず、いろんなボーダーがなくって混ざり合っていったら楽しいですよね。そこに着目することで、今までにはなかったアイデアや商品が生まれてくるのかもしれないですね。

中村 それがダイバーシティーだと思うんですよ。垣根がなくなっていくことで、あるべき論よりも「どう生きるか」ということが本質的に問われる。そのときに、この格好をしましょうとか、このコスメを使いましょうとなってくると思うんです。異性に受けるために綺麗になるとか、いい洋服を着るとかというのは若い人たちの中には常にあると思いますが、それがいつまでも続くわけではなくて、自分を確立しながら多様化していくと思います。

山岸 なるほど。大事なのは自分がどうあるべきか。それが多様化に繋がっていくんですね。

中村 ファッション業界もコスメ業界も、今までは売るためにトレンドを作ってきた部分があるので、多様化が許せないんですよ。ですから、今は過渡期にあると思います。

松田 多様化の過渡期ですか。

中村 多様化の過渡期で、しかも日本は無欲社会なんですよ。特に若い世代は、地位も欲しくない、お金も欲しくない、車も欲しくない、彼氏彼女も欲しくない…、お坊さんみたいな無欲の世界なんですよ(笑)。その理由の一つがネット社会。人間の本質的なことを全部ITがやってしまっているから無欲なんです。

ファヴールマルシェ メデルテ事業部 山岸嘉子

心に響くストーリーが大事

━━確かに今の若い人たちは、物欲もないし、彼氏彼女もいらない、といった話をよく聞きますが、無欲の人たちに商品を購入してもらうのは難しいですよね。

中村 「買いたい、持ちたい、所有したい」という価値観が変わっているんだと思います。私が講演などお話しするのは「食」のこと。物がないときは味よりも満腹になることを優先します。つまり胃袋で食べるんです。そして食べられるようになると、今度は他の人と違うものが食べたくなります。例えばミシュランガイドに載っているお店や有名なオーナーシェフのいるお店に行く。これはミシュランに載っているとか有名シェフが作ったからということで、味ではなくて脳で食べているんです。そして今は「心で食べる時代」。例えば、旬のものだとか、農家の人が何年もかけて心を込めて作ったものとか、そういう部分に価値を見出すんです。

山岸 そういう意味では、さきほど展示会にアパレルとコスメを一緒に置いてという話と似ていますね。一緒に展示して消費者の心に訴えることで、相乗効果で興味を持ってもらったり購入に繋がったりすることがあるかもしれないですよね。

中村 物の時代から情報の時代、そしてストーリーの時代と変化してきましたが、今度はストーリーはいいけど、物の良し悪しはどうなのという、また物の時代に戻っていると思います。もっと発展していくと、これを使うとあなたの生活がこう変わりますよ、ということをどれだけストーリーに出来るかですよね。先日、DeNAの元社長にお話を聞いた時に、横浜スタジアムに野球を見に行く人は、野球をつまみにお酒を飲んだり騒いだりするのが楽しいので、スタジアムを居酒屋みたいにしようということで地ビールと組んでベイスターズビールを作ったそうです。そこまでストーリーを高めないとダメなんですよ。

━━メジャーリーグもそうですが、広島東洋カープが、野球ファンだけでなく、親子やカップルで球場に来てもらうために、アトラクションを作ったり、シートを工夫したりしましたよね。

中村 そうですね。広島県で「広島といえば?」とアンケートを取ると、3位ぐらいにカープと出てくるそうです。しかし、横浜でアンケートを取ってもベイスターズは出てこなくて、港が見えるとか中華街が出てきます。そこで「港が見える=海」で、ブルーを押し出したブランディングをしたそうです。単純に物と物のコラボではダメなんです。それを使って、どういう時間、どういう演出をするかというストーリーが重要なんですよ。良い例がハロウィンです。渋谷の街に集まって何をするわけでもありませんが、わざわざ衣装を買ったり作ったりするじゃないですか。

松田 面白いですよね。先ほどのお話でもありましたが無欲というのが現代の象徴ですけど、それ以上に人との関りとか絆を常に求めているんですよね。

中村 そうなんですよ。今の若い人たちはパーティー世代なんて言われていますが、とにかく何か理由を付けてパーティーをやりますよね。

松田 サッカーのワールドカップのときなんかもそうですよね。わざわざ渋谷に行ったりスポーツバーに行ったりしますけど、それは自分がやっていることを確認し合うじゃないですけど、共有したい世代なんでしょうね。それをストーリー化して商品開発に結び付けるって面白いかもしれないですね。

中村 ブランドがどうとかではなくて、そこからもう一歩突き出たような背景をストーリー化できるといいですよね。

━━今回は「アパレルとコスメ」ということでお話をお聞きしていますが、今後もいろんな異業種とコラボしていこうと考えていらっしゃいますか。

中村 そうですね。今回の「PLUG IN」でも、木工や鉄のクリエーターに出展していただきますが、今後はスイーツのクリエーターとか、いろんな業種とファッションをコラボできたらなと考えています。

山岸 ファヴールマルシェとしても、ぜひアパレルとコスメでコラボをしたいと思っています。特にmederuteの場合は、メンズコスメとのコラボだったら、いろいろと面白いことができると思うんです。

中村 個人的な感想ですが、コスメとかエステって、なんか強迫観念で買わせている印象があるんですよね。例えば、下着なんかもそうですが、これを付けていないと胸が垂れてきますよ、といったような。そうじゃなくて、全く違うストーリーができると面白いと思います。

松田 すごく難しいことですけど、ライフスタイルからの提案型コスメとかね。

山岸 ファヴールマルシェはドクターズコスメということが強みだと思うので、そこを活かしてストーリー作りができるといいかなと思います。

中村 化粧品のあり方みたいなものを提案できるといいと思うんでよね。意外ときちんと化粧品のことを分かって使っている女性って少ないと思うんですよ。よく分からないけど、見よう見まねで使っているとか、トレンドで使っているとかいう人が多いと思います。

松田 そうかもしれないですね。実際、スキンケアでいうと乳液から付けた方がいいとか順番がありますからね。そういうことをきちんと理解している女性は少ないかもしれないですね。

━━いろいろお話をお聞きして、アパレル業界もコスメ業界も、異業種とコラボすることで新たな展開が見えてくると思いました。アパレル、コスメ、それぞれの立場から、今後どのようなことに取り組んでいきたいと考えていますか?

松田 ニッチ商材というところで、アパレルだからコスメだからと市場を分けることなく、魅力を上げる、生き方の質を上げるためにコスメがあって、異業種と融合できたらいいなと思います。そのための商品作りを積極的に取り組んでいきます。

山岸 今回mederuteがきっかけで中村さんとご縁ができたので、「PLUG IN」だけでなく、今後もアパレルとコスメの可能性を考えて提案していけたらなと思います。

中村 クリエーターが起業する時に、トータルで支援できるような仕組みを作っていきたいと考えています。実際、銀行やクラウドファンディングの会社と話をしていて、そこを活用してもらえれば資金繰りや販売のことはクリアできます。そういうスタートアップ企業をサポートできる仕組みを作って、いろんなクリエーターが世に出て活躍できる環境を作りたいですね。

中村善春
株式会社繊研新聞
業務局部長、JFW-IFF MAGIC JAPANマネージャー、PLUG IN事務局長
1981年繊研新聞社に入社。編集局で子供服、インナー、婦人ニットのメーカー取材を10年間、続いて流通・小売を担当。婦人服専門店取材キャップを経て、新興・個性派面デスク、企画面デスク、流通ニュース面デスクを歴任。05年6月から本社編集部長、09年6月から編集局次長。13年4月から業務局本社業務部長、センケンh(アッシュ)編集責任者&事業局長を歴任。13年10月から現職。
https://senken.co.jp/

山岸嘉子
ファヴールマルシェ メデルテ事業部
世界中の「創り手=クリエーター」と「愛でる手=エンドユーザー」をつなぐ、情報発信型グローバルオンラインセレクトショップ『mederute』を運営。独創性に富んだ「創り手」が想いを込めて創り出すハンドメイドの商品を、その想いに共感する「愛でる手」へ届けている。
https://mederute.com/

松田野須子
ファヴールマルシェ プロデュース事業部
海外バイヤー・商品企画として、新しいトレンド、面白い商材、情報、人を探しに国内外問わず飛び回っている。海外展示会での情報収集や豊富な人脈を活かし、多くのヒット商品を生み出している。
https://bragoku.jp/author/matsuda/

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