ビジネスマンの多くが毎日のように着用するワイシャツですが、毎日洗濯する、あるいは週末にクリーニングに出すという手間や時間がかかります。こうしたワイシャツに関わる課題を解決するのが、日本初のワイシャツ宅配サービス「ワイクリン」です。サービスを始めたキッカケや特徴について、運営元である株式会社NextR代表取締役 長尾淳さんにお話を伺いました。
ナンバリングした自分専用のワイシャツ
利便性を追求した日本初のワイシャツ宅配サービス
ワイシャツのクリーニングに対する不満を解決
━━日本初のワイシャツ宅配サービス「ワイクリン」は、どのようなキッカケで始まったのですか？
長尾 私自身、営業職として会社に勤めていたのでワイシャツは毎日着ていました。ただ共働きだったため、妻が土曜日か日曜日にまとめて家で洗濯とアイロンかけをしてくれていたんです。しかしある日、洗濯だけならまだしも、なぜ私（妻）があなた（夫）のワイシャツのアイロンまでかけなければいけないのかと、妻から不満が出始めたんですよ(笑)。共働き世代が当たり前になってきて、同じような境遇の家庭はたくさんあるはずです。一方で、単身世帯や共働きでも家で洗濯せずクリーニングを利用される方もいますよね。
一般的にクリーニングに出すのはだいたい土日ですよね。例えば土曜の昼に1週間分のワイシャツを出せば、翌日また回収に行かなければいけません。その時間がもったいなく、2日にわたって拘束されるので休日をゆっくり過ごせないんです。ですから、そういった不便さや不満を解消できる利便性を追求したサービスができれば、一定のニーズに応えられるのではないかと考えたんです。実際にアンケート調査会社に依頼して、300名に「こういうサービスがあったら使いたいか」「ワイシャツのレンタルに対抗があるか」といった質問を投げかけたところ、肯定的な意見が多かったんですよ。
お客様の声を聞きながら、利便性の高いサービスを提供
━━日本初のサービスを周知させるために、どのようなPRを行ったのですか？
長尾 当時は広告費が捻出できなかったので、プレスリリースだけでほとんど広告は出していません。ただ、ちょうどサブスクリプションが注目され出した頃だったので、多くのメディアに取り上げて頂いて広まったという感じです。
全10種類の中から、色やデザインを選ぶことができます。
━━価格設定はどのように決められたのですか？
長尾 今までなかったサービスなので、価格設定は非常に苦慮しました。私たちは、利便性の追求に重点を置いています。単純な値段で見ればクリーニングに出した方が勿論安くすみますが、1回使っていただければ、その利便性にご納得頂けるだろうという観点から設定した価格です。プランはアソートプランとスタンダードプラン、プレミアムプランの3種類で、価格は月額で8,800～24,800円にしました。
━━年代によってワイシャツの好みも変わると思いますが、ターゲット層は絞られていますか？
長尾 年代ごとにターゲットを絞り、シャツを揃えているわけではありません。提携しているシャツメーカー様のノウハウやご意見をいただいてセレクトしています。基本的に、日本人は派手なワイシャツを好む人が少ないんですよ。ですから、定番の白、ブルー、ストライプと、大きく分けてこの3種類を用意しておけば、8割方はカバーできるんです。
もちろん、ワイシャツのデザイン等にこだわりを持っている方もいます。一方で、清潔で定番的なワイシャツであれば、柄などにこだわらないという方も多いんです。どちらかといえば、ワイクリンは後者の方々に向けたサービスですね。
独自の取り組みでお客様のニーズに応える
━━ナンバリング管理というものがワイクリンの独自のシステムだと思いますが、具体的にどのようなものですか？
長尾 夏場は、ワイシャツを素肌の上にそのまま着る人が多くなります。つまり、下着に近い側面があるんですね。でも、先月誰が着たシャツか分からないとなると、衛生面で抵抗を持つ人がいらっしゃいます。また、なかには香水をつけている方もいて、洗濯しても臭いが残るんです。ですから手間はかかりますが、ナンバリング管理をしてご自分専用のシャツをご提供するようにしました。
最初の月に20枚お届けして、1カ月後にまとめて返却する直前に、翌月の分20枚が届きます。その後返却頂いた20枚をクリーニングして、翌々月に届けるので、40枚がそのお客様専用のワイシャツということになります。
ワイシャツ一枚ずつにナンバリングがされ、お客様ごとにシャツを管理しています。
━━ナンバリング管理の他に、お客様から喜ばれている点はどんなところですか？
長尾 もう一つお客様に喜ばれているのが、汚れへの対応です。食事などでシャツが汚れても、故意に汚したものでなければ無償交換をしています。
これまでシャツを買い替える頻度が高い方には、ワイクリンは上述の通り常に清潔なシャツを提供してますので大変喜ばれています。これもサービスの大きな特徴ですね。
━━いわゆる宅配を行っているクリーニング業者との違いは、どのような点にあるのでしょうか？
長尾 宅配クリーニングとの違いは、自分のものかレンタルのものかという点。ワイクリンは自分のものではありませんが、ナンバリング管理していますので、自分のものとあまり変わりません。
あとは頻度ですね。ワイシャツを20枚も持っている人はあまりいません。たいてい5～6枚、多くても10枚ほどだと思います。私も使用経験がありますが、宅配クリーニングは週1回ペースでの利用が多いと思います。そうすると今度は週1回、土曜日に宅急便を待って、また届くのを待たないといけません。それって結局、クリーニング店に持って行くか、宅配を家で待つかの違いだけで費やす時間は一緒ですよね。
でもワイクリンは、月に一度20枚が一気に送られてきて、これをまた一気に送り返すだけです。さらに宅配便対応コンビニも利用できます。持ちやすいボストンバッグ状のバックなので、女性でも軽々と持ち歩けます。なかには忙しい時期だけとか、奥さんが妊娠していて半年だけ利用される方もいらっしゃいます。
使用済みのワイシャツは、専用の回収袋に入れて送るだけです。
さらに満足度の高いサービスを作り上げていきたい
━━2月には法人向けの「ワイクリンBIZ」を始められましたが、個人向けのワイクリンとの違いを教えてください。
長尾 もっとも大きな違いは、ワイクリンが「毎月ワイシャツを20枚送ります」というサービスなのに対し、BIZは法人様によって変わるという点です。金額も個別対応で、特にメニュー化は行っていません。
例えば、月10枚でいい、社員宛に送ってほしいなど、企業様によって要望が違ってきます。なかには、会社に20枚置いておいて、内勤で普段はカジュアルな服装で仕事している方が、たまに会議などワイシャツが必要なときのみ使うという共用型というケースもあります。もちろんワイクリンBIZもナンバリング管理をしています。
━━最後に、今後の展望について教えてください。
長尾 ワイシャツのラインナップを増やすのはもちろん、返却方法の融通性、夏場などあまり着ない月の対応など、お客様の声を反映させながら、サービス品質をより強化していきたい。現状に満足せずに、少しでも積み上げて、1～2年後にはさらにご満足いただけるサービスを作っていきます。
株式会社NextR
代表取締役
長尾 淳(ながお じゅん)さん
撮影：中野 昭次
