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中国コスメ事情―日本と中国、コスメへの意識、その違い

観光庁「訪日外国人消費動向調査平成29年10月~12月期」によると、訪日中国人の「化粧品・香水」の購入率は81.4%です。このデータからも、日本の化粧品、そしてコスメへの関心の高さが伺えます。では、日本と中国ではコスメ事情にどのような違いがあるのでしょうか。

日本と中国の美意識の違い

日本では、就職活動を控えた女子大学生向けに「就活メイク講座」が実施されるなど、社会に出る上でメイクはマナーといった風潮があります。化粧をしていることが、きちんとした身なりであるとされ、街中を歩く女性たちは各々さまざまなメイクを施しています。日本人にとってはなんの変哲もない光景ですが、来日した中国人にとってはしばしば、特異な光景に映るようです。
実際、日本在住の中国人女性に話を聞くと、「日本の女性はみんなキレイにメイクをしていてすごい」と漏らしていました。
日本人からすると、何が? と思いますが、
彼女いわく、
「中国では、元々、日常的に化粧をするという人があまりいなかった。最近は化粧をするのが流行っているので、若い人はメイクしているけど、40代以上の人は今でもメイクはほとんどしていない」
とのこと。

日本では、化粧品のカラーやメイクアップの方法が時代によって左右され、流行り廃りがありますが、中国ではそもそも日常的に化粧をする習慣が薄く、「化粧をする」という行為自体が最近の流行だというから驚きです。

また、前述の中国人女性は、
「SNSとかで流行っているから、化粧をしてみようって思うし、日本に来てキレイに化粧をしている人を見るとテンションが上って、日本の化粧品を買って帰ろうと思う」
とも話していました。

彼女が言うように、若い世代を中心に化粧品への関心が高まっているのか、実際にデータを見てみましょう。

化粧品市場・規模

株式会社富士経済が2017/8/28に発表した化粧品の国内市場調査結果によると、
“2016年の市場は前年比 3.3%増の2兆 5,294億円となった。”
とのこと。(富士経済、化粧品の国内市場調査結果を発表(2017/8/28日本経済新聞))

これに対し、中国の化粧品市場は、2017/7/27にTPCマーケティングリサーチ株式会社が実施した中国の化粧品市場についての調査結果によると、
“2016 年度の中国の化粧品市場は、前年度比 5.1%増の 2 兆 9,006 億円となった。”
とのことです。(TPCマーケティングリサーチ、中国の化粧品市場について調査結果を発表(2017/7/27 日本経済新聞))

総人口が違うため厳密な比較は出来ませんが、金額だけを見ると既に日本市場を中国市場が上回っています。
また、TPCマーケティングリサーチ株式会社の調査結果によると、日本化粧品市場は2008年が2兆2,118億円、2016年が2兆3,194億円とあまり大きな変化は見られません。一方、中国化粧品市場は2008年が1兆5,134億円、2016年が2兆9,006億円ですので、倍近くまで跳ね上がっていることが分かります。この数字を見ても、中国の化粧品市場が目覚ましい勢いで拡大していることは、疑いようもない事実だと言えます。

化粧品のトレンド

日本の化粧品市場は元々スキンケアが牽引していますが、2017年1月に“世界でひとつのシワ改善メカニズム”としてポーラから発売されたシワ改善美容液「リンクルショット メディカル セラム」は、 1年間で販売個数が94万本、売上高は約130億円にのぼり、「2017年日経MJヒット商品番付」にもランクインしました。
また、イミュ株式会社の「オペラ リップティント」も昨年の日経MJヒット番付にランクインしました。こちらは「#花嫁リップ」のハッシュタグとともにSNSで口コミが広まり、シリーズ全体で約140万本突破の大ヒットとなりました。
シワ改善というアンチエイジング効果のあるスキンケア用品と、SNSを中心にヒットしたリップ。日本では幅広い年代が「美」に関心を持っていることと、また、SNSが及ぼす影響が大きいことの2点が読み取れます。

一方で、中国はというと…、やはりスキンケアについての関心が高く、手軽に出来るスキンケアアイテムとして、特に、フェイスマスクが近年人気です。
中国報告網の2018/5/5の記事によると、化粧品市場においては、スキンケア製品のシェアが5割と半分を占め、更にそのスキンケア製品カテゴリの中で最も注目が高いのが、フェイスマスクで、その数値は42.8%にものぼると伝えています。(2018年中国护肤品行业面膜市场规模分析及预测(图))
しかし現時点では、フェイスマスクを用いる習慣は定着までには至っておらず、比較的浸透しつつある層も都市部に集中しています。地方においてはまだまだ未開発であり、今後普及率は更に高まる予想であると述べています。

一方、メイクアップ製品は現在8%とまだ規模は小さいですが、中国の人気女優、ファン・ビンビンがソーシャルECアプリ「小紅書」で、オススメのリップを紹介する動画を配信するなど、SNSを通じてメイクアップの情報も広まっていることから、今後、市場は拡大していくでしょう。

また、フェイスマスクを始め、日本のスキンケア製品やメイクアップ製品に対しても人気があります。観光庁の「訪日外国人消費動向調査(2017年年間地の推計)」によると、中国からの訪日旅行客の「化粧品・香水」の購入率は初回訪日者で84.2%、2~9回目のリピーターで81.8%と高い水準です。
Googleで「面膜 日本」や、「美妝 日本」といったワードで検索すると、「日本で必ず買うべきフェイスマスク●選」、「日本で買うべき化粧品」といった結果が表示され、訪日の際に、化粧品を買うのは普通なことのようです。

また、最近は高級化粧品への需要も伸びており、2018/2/7に日本経済新聞が報じた資生堂の2017年12月業績報告の記事によれば、
“インバウンドの好調に加え、中国現地やアジア各国の免税店で中国人の需要を取り込む施策も奏功。高級化粧品ブランドと位置付ける「SHISEIDO」が1,300億円、「クレ・ド・ポー ボーテ」が1,000億円の売り上げ規模に達した。”
とのことです。(資生堂の17年12月期、純利益30%減に上方修正 高級化粧品が好調(2018/2/7 日本経済新聞))

市場の成熟に伴い、製品に質を求める動きも今後より高まっていくのではないでしょうか。

まとめ

中国と日本ではコスメ事情はこのように違いがあり、日本に比べると中国は化粧の文化はまだ成熟していないようです。しかし、化粧品市場の規模は、アメリカについで世界2位にまで成長しているというデータもあります。
今後の経済発展とともに中国の女性たちのコスメへの意識も変わってくるでしょう。日本製は安心できるという中国人も多く見られることから、さらに日本の化粧品が注目されると推測できるでしょう。

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