fbpx

インタビュー「株式会社コッチ」

業界では珍しい店舗を持たない自転車のEC販売
海外工場と完全受注生産の体制で低コストを実現

自転車を購入する場合、お店に見に行き、試乗するというのが一般的ですが、「Cocci Pedale」ではウェブ上でカスタマイズ注文した自転車を販売しています。なぜ店舗ではなくECでの販売なのか、株式会社コッチのCEO 勝俣俊二さんにお話を伺いました。

「自転車メーカーをやってみたい」という想いを具現化

株式会社コッチ CEO 勝俣俊二さん

━━なぜリアル店舗ではなく、ECで自転車をカスタムマイズして販売しようと考えたのですか?

勝俣 単純に色をカスタマイズしたりハンドルを変えたり、ECの方が早いし見せ方も面白いと思ったんです。お客様のニーズというより、自分がやってみたいこととしてスタートしました。
趣味の延長のような形で、自転車メーカーをやってみたいなという想いから、じゃあウェブを立ち上げようと。そのため、最初からECというスタイルは決まっていたんです。ただ今考えると店舗もあったら良かったかなと思いますね。現在試乗できる場所が全国に17カ所ありますが、店舗ではないので。
自転車メーカーをやりたくて始めましたが、私は自転車店で働いたことはありません。整備士の資格は持っていますが、あくまで自社の自転車に特化していて、他社のものには対応できません。これは私だけでなく、他のスタッフも一緒です。

━━店舗での経験がないなか、知識面で不安はなかったのでしょうか?

勝俣 自転車の安全・製造面については、ベテランの方を顧問としてパートナーシップを結んでスタートしました。現在はすでに離れていますが、5年という期間を経て、技術面や製造面に関しては問題ないと考えています。
一番の問題はECの運営。本当にうちの自転車が売れるのか、正直、最初はすごく不安でした。ただ、事業はクラウドファンディングで始めたので、その時点でマーケテイングをして、売れるという見込みをつけてスタートできました。

リアル店舗とEC、トラブル対応の大きな違い

━━店舗ではない、ECだからこそ苦労された点はありましたか?

勝俣 山ほどありますよ。例えばパンクが起きた場合、店舗だったらその場で見てすぐに原因が分かります。しかしECの場合、それが整備不良なのか、お客様が起こしてしまったものなのか原因が分かりません。ですから基本的に費用はこちらが全て負担しています。ただチューブを送ったり交換してもらったり、店舗なら来てもらって交換して終わる作業もお客様にとって手間になってしまうんです。もちろん、費用も2~3倍とかかります。
お客様からは「なんか音がする」など抽象的な問合せもあり、トラブルへの対応は、ものすごく労力がかかっています。

━━トラブルに対して具体的にどのような対応をされているのでしょうか?

勝俣 持ち込みもありますが、多くのお客様は遠方です。そのため、まずお客様の最寄りの自転車店を調べて状況を伝え、すべての段取りを手配して、取り付けや交換など行ってもらいます。掛かった費用は後日振り込みしています。

塗装から組み立てまで社内で全て行われている

ターゲットを絞ってウェブ・SNS広告でPR

━━クラウドファンディングそのものが一つのPR効果に繋がったと思いますが、その他に取り組んだPR戦略を教えてください。

勝俣 店舗がない分、広告費はかけています。そうしないと、なかなか知名度は上がりませんから。例えば「自転車」「オシャレ」などと検索した人にはCocci Pedaleの自転車の画像が出てくるよう、ウェブ広告はガンガン打っています。
もちろん、費用をかければ需要が伸びるというものではありません。費用に対する受注台数を見つつ、SNS広告も出しています。
広告以外にも、2年前から神奈川県秦野市の認定するふるさと納税の返礼品になったので、それも一つのPRにはなりました。ふるさと納税の影響で、もともとユーザーは20~30代が中心でしたが、一昨年から40~50代と年齢層が上がっています。

━━PRする際に、具体的にターゲットは絞られていますか?

勝俣 現状、6~7割のお客様が東京と神奈川です。あとは大阪、そして埼玉や千葉などの関東圏なので、そのエリアに絞って広告を出しています。

海外工場での部品製造と受注生産の体制で低価格を実現

━━カスタマイズできて70,000円を切るのはとても安いと思うのですが、どういった仕組みで価格を抑えているのでしょうか?

勝俣 実は、これでも値上げしたんですよ。今までは55,000円(税別、送料別)でしたが、今年から58,000円(税別、送料別)に値上げしました。
安くできる一番の理由は店舗と卸がないからですね。あとは、中国や台湾の工場で製造している点。普通は商社から代理店、小売店、そしてエンドユーザーという流れがありますが、これを省けているのは大きいと思います。
また、自転車はすべて受注生産です。在庫を持つと、その置き場やキャッシュの問題が起き、そこまではリスクを負えません。ですから在庫を持たず、注文が入るごとに工場から無塗装の状態で仕入れた部品を社内で塗装し、組み上げて受注から9日で納品しています。社内で製造しているので、塗装業者などに依頼する必要もなく、ここでもコストが抑えられています。こうした体制は、大手を含む他社では真似できないものだと思います。

━━ECでの販売だと、やはりウェブ上での見せ方が重要になると思うのですが、工夫されている点はありますか?

勝俣 サイズ感や色ですね。色ならばスマホやパソコン、タブレットなど何で見るのかによって、見え方は全然違ってきますよね。ですから弊社では、カラーサンプルを無料配布しています。それ以外、ウェブ上の見た目はとてもシンプルです。パーツの色など、ゲーム感覚で選んでもらいたいと思っています。だた、ちょっとシンプルに作り過ぎました。
ただ、大手だとフレーム、タイヤ、グリップぐらいしか選べませんが、弊社はパターンが無数にあるので、パーツや色など選んでいる段階で迷ってしまい、そのまま決めかねてフェードアウトしてしまう方が多いんですよ。そこが今の悩みです。あまり複雑に搭載して手間がかかるようにすると、かえって購入機会が失われてしまうのだと感じています。

社内には、サドルやフレームなどパーツごとに大量に保管されている

ブランド力を高め、リアル店舗とBtoBへの事業を展開

━━今後取り組んでいきたいこと、新しい展開などについて教えてください。

勝俣 自転車ブランドとして「Cocci Pedale」のブランド力を高め、売上も伸ばしていきたいですね。そのためにはECだけでなく、できればリアル店舗も絡めたいと思っています。
また、「Cocci Pedale」から派生して「Cocci Custom(コッチカスタム)」というシステムのブランドを立ち上げました。これはカスタムのシステムを提供し、例えばアクセサリーやカバン、帽子など、お客様に製造・販売してもらうものです。弊社はシステムのみ提供して、売上の何%かを頂きます。これがあれば、何でもカスタム販売できるようになります。
今まではBtoCがメインでしたが、今後はBtoBにも事業を展開していきたいと考えています。

株式会社コッチ
CEO
勝俣 俊二(かつまた しゅんじ)さん

株式会社コッチ
神奈川県秦野市堀山下410
TEL:0463-68-9804
URL:https://cocci.co/

関連記事

ピックアップ記事

  1. ブランド創出の極意(ブラゴク)の『作る』カテゴリの記事 How to クラウドファンディングの メインビジュアル クラウドファンディングのプロセスを絵で表現

    2018-4-25

    How to クラウドファンディング

ブランド創出の極意 Facebook

ページ上部へ戻る