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関税は安くなる? 商品の関税率の違いや複雑な関税の仕組みについて

貨物が国境を通過するときに発生するのが関税ですが、その仕組みは複雑で理解が難しいところです。
海外から商品を輸入する際など、個人でも関税の影響を受ける場面は少なくありません。
今回は関税の意味や商品ごとに変わる関税率など、複雑な仕組みについてわかりやすく解説します。

関税とは?

関税とは、主に外国から輸入される貨物に対して課せられる税金のことです。関税制度自体は元々手数料を徴収する意味合いから始まったものですが、主な目的は国庫収入の確保と国内産業の保護という2点にあります。
前者の目的で課せられる関税を「財政関税」、後者を「保護関税」といいますが、近年の日本においては総輸入額に対する関税の比率を表す関税負担率が2%を割り込む程度となっており、保護関税のウエイトが大きくなっています。
保護関税は外国からの輸入を過度に増やすことで国内の生産が廃れるのを防ぐという考え方に基づいていて、輸入品に関税をかけることで価格競争における国内製品の優位性を保ち、国内産業の振興を図る狙いがあります。

関税額はどのように算出される?

関税額は、課税評価額に関税率を乗じた値として算出されます。課税評価額というのは対象となる貨物自体の価格のことです。
輸送費や海上保険料金などをこの価格に含む取引のことをCIF(Cost, Insurance and Freight)といい、CIFを取引条件としてやり取りされる課税評価額をCIF価格といいます。
関税率10%で課税評価額が100万円の商品を輸入する場合、100万円×0.1で10万円が関税額として徴収されることになります。実際にはここに消費税もかかってきます。

商品によって変わる、関税率

関税のかかる割合を示す関税率は一律ではなく、商品によって変わります。
法律または条約によって定められている関税率は主に次の6種類に分類され、該当する場合は後者のものほど優先される仕組みになっています。

★基本税率
★暫定税率
★WTO協定税率
★一般特恵税率(GSP)
★特別特恵税率(LDC)
★EPA税率

基本税率は関税定率法で定められた税率で、他に定められる税率がない場合の基準となります。事情によってこの基本税率に該当しない場合、代わりに適用されるのが関税暫定措置法で定められている暫定税率です。
WTO協定で定められた上限税率がWTO協定税率で、WTO加盟国や地域の産品に対して適用されます。
一般特恵税率(GSP)と特別特恵税率(LDC)は、それぞれ開発途上国と後発開発途上国に対する経済援助を目的として設定される特別税率です。
EPA税率は経済連携協定(EPA)か経済連携協定(FTA)を締結した国から原産品を輸入する際に適用される特別税率です。特恵税率やEPA税率の適用には原産地証明書の取得が必要となります。

商品ごとの税率はカテゴリごとに細かく分けられており、財務省が管理する貿易統計のサイトに関税率表(http://www.customs.go.jp/tariff/)として公開されています。

関税を安くするには?

税金をできるだけ安く抑えたいと考えるのは当然のことですが、基本的に関税を安くする裏技のようなものはありません。
ですが関税算出式の構成要素である課税評価額もしくは関税率を見直すことにより、場合によって税額が抑えられるケースがあります。
ポイントとしては次のものが挙げられます。

★商品の統計品目番号を確認する
★課税評価額を少額に抑える

商品の統計品目番号を確認する

貿易商品に割り振られている統計品目番号は関税率を決定する重要なコードで、HSコード(Harmonized Code)と呼ばれる6桁の世界共通コードと、それに続く3桁の細分番号の計9桁で構成されています。
HSコード表に分類された細目をタリフラインと呼びますが、日本ではタリフラインにおいてこの9桁の統計品目番号が確定してはじめて関税率が決まる仕組みになっています。

HSコードの管理は世界税関機構(WCO)が行っていて、5年ごとに改定されています。
納税手続きの申告時に付与されるHSコードはひとつの品目に対して必ずひとつの番号が割り振られることになっていますが、誤ったコードが割り振られるケースもあるため確認が必要です。もちろん修正した場合に必ずしも関税が安くなるとは限りません。
しかし統計品目番号に誤りがあると罰金を科せられるなどのトラブルの原因にもなるため、誤っていた場合は正しい番号に修正する必要があります。

課税評価額を少額に抑える

課税評価額が1万円以下の場合、関税はかかりません。この免税措置を利用して一度の取引における購入額を抑えるのもひとつの方法です。
個人輸入の場合は課税評価額が60%となる特例を受けられるため、実質16,666円までが免税対象になります。ただし革製品や編物など、免税対象外の商品もあるため注意しましょう。

また合計額が20万円以下の場合は簡易税率の適用対象となります。簡易税率の一覧(http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1001_jr.htm)は、少額輸入貨物に対する簡易税率表として一般の関税率とは別に定められています。
この場合も物品によっては適用対象外となることがあります。

まとめ

国庫収入や国内産業の保護を主な目的として課せられる関税は、海外からの貨物が国境を超えるときに発生します。税額は課税評価額×関税率で算出され、関税率は法律または条約によって品目ごとに細かく定められています。

世界共通のHSコードと細分番号から成る統計品目番号によって関税率が決まるため、番号が誤っていた場合は修正しなければなりません。
品目によっては課税評価額による免税措置や簡易税率の適用などを受けることにより関税を安く抑えられるケースがあります。

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