私の見解は「エビデンスレベルを上げられない」です。
これは比較対象試験ができないことと、動物試験ができないことにあります。動物試験についてはヒトと他の動物とでは、骨格が異なるため言わずもがなです。よって、比較対象試験について吟味します。
臨床試験を行う際に排除しなければいけない項目の一つにプラセボ(思い込み)効果があります。このため、レベルの高いエビデンスではブラインド試験という方法を用いてプラセボ効果を排除しています。
つまりプラセボを排除できない限りエビデンスレベルは上がらないことになります。化粧品原料やサプリメントの場合、その多くは無味無臭・無刺激に加工できるのでプラセボ薬との比較対象試験ができますが、整体などの場合はどうしても刺激があるので比較できません。
それでは「効果はプラセボによるものか?」という疑問が出てきますが、恐らくプラセボだけではないでしょう。というのも施術士によって感じ方に違いが出るからです。
もし命題:「整体を受けたから調子が良くなる」がプラセボによる効果だとしたら、感じ方に違いは出てこないはずです。マッサージを含め整体や鍼灸には「科学的な証明は難しくても特定の部位に刺激を与えることで血行促進+αの作用が起こり、結果として一時的に特定の苦痛や違和感を緩和している」可能性があります。プラセボ比較はできませんが、事実として素人にやってもらうよりも張りや凝りが楽になります。
確かに現状、もとい今の科学技術では、鍼灸や整体に関して比較対象試験を行ったエビデンスはありません。
だからといって、効果に対して懐疑的になるというものでもありません。証明できる方法があるのに証明しないことは疑わしいですが、証明自体が難しいことはよくあります。
その際にはエビデンスが無いからと一刀両断するのではなく、エビデンスが取れるのか、取れないのか、から考えるようにしたいですね。そのためには、百聞は一見に如かず。まずは自分で試してみることが重要だと思います。
最近では美容鍼のようなものもあるみたいですので、一度試してみたいと思います。