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【第6回】教えて!阿部博士 – 複数のサプリメントを摂取する際に注意すべきことは? –

鰻と梅干、蟹と柿……。食べ合わせが悪いと言われている食材って多いですよね。気にしないで食べた結果、なんでもなかったということもあります。逆に知らないで食べた結果、お腹をこわしたということも…。一方、薬では当然ながら禁忌とされる組み合わせがあります。食べ合わせについて普段どの程度気にしているかと記憶を喚起すると……うーん微妙(汗)。それでも、そこそこの健康は維持できています。むしろ外見上は健康優良体かもしれません。
さてさて、食品の組み合わせですが生鮮食品から形状を変えてサプリメントになった途端、急に不安になった経験はないでしょうか。サプリメントは生鮮食品とは異なり、成分が濃縮されて詰め込まれていることが多いので、いろいろ組み合わせた結果生じる副作用について不安視するのも無理のない話です。今回はそんなサプリメントの組み合わせに関しての私の見解をお話します。

弊社には提案用のものから自社商品用のものまで複数の試作品が届きます。
某社員から「現在Aという試作品を試していますが、一緒にBの試作品を試しても問題無いですか?」と聞かれた場合、私は大きな結論として条件付きではありますが、問題無しと考えます。むしろ、とりあえず試してみることを強く勧めます。
まず、問題有りとは何を指すのかについて明確にしておきましょう。
指標は、
① 安全性
② 効果(体感)
この2通りあると考えられます。

① 安全性について

栄養素では、ビタミンやミネラル、脂溶性のアミノ酸は過剰摂取にならないよう考慮しなければなりません。一般的なサプリメントでは安全許容量ギリギリに配合されていることは考えにくく、多くても5~10分の1程度の配合量になっていることでしょう。つまり、これらの成分は5種類程度のサプリメントまでであれば特に問題無く摂取できる換算です。それ以上でも一時的なものであれば安全面では特に問題ありません。
一方、植物原料では少し注意が必要です。例えばマメ科植物に多く含まれるイソフラボンは摂取上限が設けられています。さらにイソフラボン配合サプリメントは上限ギリギリに配合されていることが多々あります。また微量配合では「イソフラボン含有」と標ぼうされていない場合があり、複数のサプリメントを使っていると、気づかぬうちに過剰摂取している可能性が出てきます。
この辺りの植物成分はまだまだ情報が出尽くしていないこともあり、私が条件付きと判断している根拠になっています。
その他の安全性については机上で推測するより試してみる方が早いと思います。
サプリメントの摂り過ぎにより、いきなり重篤な被害に見舞われることはまずありません。

前段階として、
・便が固くなる/緩くなる
・お腹が張る
・トイレが近くなる
など、ちょっとした変化があります。
このような変化が出てからどちらかのサプリメントを停止しても健康上遅くはないと考えられます。
以上、安全性について多少植物成分に条件はつくものの、基本的には組み合わせて使っても問題無いと結論付けます。

② 効果(体感)について

複数のサプリメントを組み合わせることで考えられる相互作用は下記の3通りです。
A:それぞれの効果をそれぞれが発揮する(相互作用無し)
B:互いに打ち消しあう(相殺作用)
C:互いの効果以上の効果が出る(相乗作用)

共通して言えることは、「相互作用があったかどうかについては分からない」です。特にAとCについては体感上区別がつきません(※コラーゲンとエラスチンのようにデータが取られている場合もあります=既に一つの製品に両方配合されています)。Bは使用者の立場では少なからず問題があると思いますが、EPAやDHAのようにもともと体感が出にくい素材だったのか、組み合わせが悪かったのか、もしくは期待しすぎだったのかは判断できません。
ただ、私の知っている範囲で効果を打ち消す組み合わせのものはありません。即ち、複数のサプリメントを飲用した場合、安全性に問題が無ければほとんどのケースで作用面でも問題がないと思われます。

まとめ

今回のテーマについてまとめます。
サプリメントを組み合わせて摂る場合、
① 過剰摂取になりそうな成分を原料表示からチェックする
② お腹が緩む・張るなど健康とは言えない変化が出た場合には何かの摂りすぎを疑う
③ たくさん摂っても期待するほどの効果が得られないこともある
この3点に注意を払えばどのように組み合わせても問題無いと思います。

ただし、薬を飲んでいる場合は医師や薬剤師に相談することをお勧めします。あくまでも私の主観ですが、ビタミン類など一部のサプリメントを除いて薬を内服中はあまりサプリメントを摂らない方がいいと思います。

もっとも、使う時よりも考えながら選んでいる時の方が楽しかったりするんですけどね。

阿部哲朗

阿部哲朗

投稿者プロフィール

・医療美容研究所 所長 / 博士(創薬科学)
・1979年6月26日生まれ、北海道出身。
・鹿児島大学理学部生命化学科卒業。
・北海道大学大学院生命科学院生命医薬科学コース修士課程修了。
・2018年3月、金沢大学大学院医薬保健学総合研究科創薬科学専攻博士後期課程修了。
 研究テーマは「植物に由来する健康機能性成分の探索」。
・趣味:将棋(四段)、スポーツ観戦 etc
・好きな言葉:①僕の前に道はない(道程より)
       ②人生=修行ナリ(S.O.W. センスオブワンダーより)

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