fbpx

インタビュー「愛眼株式会社」

“お風呂で眼鏡をかけてはいけない”という常識を覆し、 多くのユーザーが求めていた商品を開発

普段眼鏡をかけていても、お風呂では眼鏡をはずすのが常識です。眼鏡店でも、「お風呂では眼鏡をはずすように」と言われます。しかし、そんな常識を覆し、多くの眼鏡ユーザーから大きな反響を呼んでいるのがお風呂用メガネ「FORゆ」。この商品が生まれた背景や特徴など、愛眼株式会社ITシステム課課長 馬場勲さんと営業企画室マーケティング推進課係長 杉浦良紀さんにお話を伺いました。

女性の身だしなみ、そして子供の安全を守るために開発

愛眼株式会社 馬場勲さん(左)、杉浦良紀さん(右)

━━「FORゆ」はロングヒット商品ですが、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

馬場 眼鏡を販売する際、私たちは「お風呂で眼鏡をかけない」ようにお客様に伝えます。レンズやフレームが痛んでしまうからです。でも視力が悪いと、身体を洗っているときに足先など汚れを見落としてしまうことがあります。
特に女性は、男性より身だしなみなど、美への意識が高い人が多いじゃないですか。ですから女性が、洗い残しがないように身体をキレイに洗って身だしなみをきちんとしてほしいというコンセプトで「FORゆ」を企画しました。

━━では、商品のターゲットは女性なんですね。

馬場 当初は、女性がターゲットでした。でも商品部に企画書を挙げたところ、弱すぎると言われて…。ただ私は絶対に売れると思っていたので、プラスアルファできる要素がないかと考えていたときに私自身に子供ができました。そのとき、お父さんやお母さんが子供をお風呂に入れる際、見えにくかったら危ないですし、きちんと洗ってあげることもできないと思ったんです。
また、旅行先の露天風呂で眼鏡をかけてみたんですが、視力が悪いと美しい景色も見えていないんですよね。こうしたことを踏まえて再度企画を挙げたところ、面白そうだということで商品化が決まりました。ですから、ターゲットは当初よりかなり広がっているんです。それからは試作品を作り、テスト販売しながら価格を決めていきました。

杉浦 販売開始は2013年ですが、実際に使っていただいたお客様のご意見を聞きながら、現在まで3回バージョンアップしています。一番のコンセプトは、お風呂で安全かつ快適に過ごせることです。

高い強度と耐火性を兼ね備えたポリカーボネートを全体に
使用

━━眼鏡をお風呂で着けられるようにするため、開発に当たって工夫されたことは何ですか?

馬場 まず錆びないように金属を使わないことですね。また、子供に引っ張られても折れない、踏んでも怪我をしないようにするため、強度面についても柔軟な素材が必要です。その方法を考えるのに、商品部はかなり苦労しました。あと細かな点ですが、落としたとき見つけやすいよう、耳にかける部分(テンプル)だけをブルーにしています。

杉浦 お風呂は皆さん無防備な状態で入りますから、角などは取ってすべて丸みの形にするなど、安全性にはこだわりました。
素材には強靭なポリカーボネートを使っています。レンズもフレームもすべてポリカーボネートなので、強度だけでなく耐熱温度も高いんです。特にこの硬い素材を綺麗に仕上げることは技術的にも難しいです。通常販売されている眼鏡とは、製造がまったく違うんです。ですから、安定した品質を大量に作るのがなかなか大変なんですよ。
ちなみに、フレームとレンズで素材が違うと熱での膨張率が異なり、レンズを守るコーディングの痛みに繋がります。「FORゆ」はサウナに入っても大丈夫なように、そうした点への配慮も徹底して作っています。

馬場 他社でもお風呂用メガネは発売されていますが、コンセプト、素材、安全性など、すべての面で差異化を図っています。

発売前からメディアに取り上げられ大ヒット

━━「眼鏡はお風呂でかけない」という従来の常識を覆す商品をユーザーに認知してもらうため、どのようなPRを行いましたか?

杉浦 発売前から口コミで広がり、メディアに取り上げて頂いて反響が広がりました。お風呂でも眼鏡をかけたいと思っていたユーザーが潜在的に多かったので、一気に広がったのだと思います。

馬場 最初は会社としても疑心暗鬼で、最初に作った20,000本が本当に売れるのか不安な部分もありました。しかしメディアに取り上げられたお陰で、あっという間に在庫がなくなりました。

杉浦 昨年8月にはTwitterで「FORゆ」のことをツイートしてくれた方がいて、そこからさらに売上が伸びました。一般の方でフォロワー数も3、40人くらいですが、「お風呂に入って子供をキレイに洗える」と本当に思ったことをつぶやいたら、リツイートが90,000件ほどにまでなったんです。やっぱり実際に体験して子供がキレイに洗えると嬉しいじゃないですか。そこに共感が生まれ、広がったのだと思います。

「FORゆ」の特徴を生かし、温泉地や銭湯など新たな販路を拡大

「FORゆ」をはじめ、さまざまな種類の眼鏡を取り扱っている愛眼の店舗

━━販路に関しては店舗とECのみですか?

杉浦 お風呂用メガネということで全国の温泉地や銭湯などでも販売していただいています。私も眼鏡をかけていますが、旅先で温泉に入っても景色が見えない、スーパー銭湯で子供を見失う、サウナで時計が見えないなど、困ることがよくありました。露天風呂に入ったら、やっぱり景色って一つの楽しみじゃないですか。ですから、そこにもニーズがあると思い、温泉地や銭湯で販売することにしました。
眼鏡業界では、自店舗で販売することが多いので弊社のような販路は珍しいと思います。しかし、「FORゆ」の用途を考えるといろんな場所に求めている方がいると思うので、逆に店舗だけではダメだと思ったんです。

馬場 最初にテスト販売したお店も、実はすべて隣に温泉があるところを選びました。そこで温泉地の方にも興味を持っていただき、「FORゆを置いてみませんか?」と声を掛けたところから販路が広がりました。今では全国の温泉地や銭湯で販売しています。

━━店舗だけでなく、温泉地や銭湯などで販売すると、さらにターゲット層が広がりますよね。

杉浦 今全国には眼鏡ユーザーが人口の60%ぐらいいらっしゃいます。現在ご購入いただいているのは年配の方が多いのですが、若い方にもかけてほしいですね。この間も温泉施設で行った音楽イベント「WE WANT NYUYOKU」とコラボしたんですけど、そういうイベント展開なんかも積極的に行っていきたいと考えています。

お客様の意見を聞きながら、目の悩みを解決していく
商品開発を

━━最後に、今後の展開について教えてください

杉浦 基本的にはこれまでと同じように、お客様からのご意見をお聞きしながら改良を重ね、もっとお客様に喜ばれる商品を販売していきたいです。また、まだまだ世の中には目のことで困っている方がたくさんいます。それこそ五感の中で、眼から得る情報は約83%もあると言われるほどですから。お客様が困っていることに目を向けて商品開発に挑戦し、営業していきたいと考えています。

馬場 例えば足湯で本を読んだり、あるいは家の中で使っていたりする年配の女性も多いようなんです。お風呂が一番の用途ではありますが、例えば防災用バッグに入れておくとか、いろんな使い方を提案していきたいですね。

愛眼株式会社
ITシステム課 課長
馬場 勲(ばば いさお)さん
営業企画室マーケティング推進課係長
杉浦 良紀(すぎうら よしのり)さん

愛眼株式会社
大阪府大阪市天王寺区大通4-9-12
TEL06-6772-0395
URL:http://aigan.co.jp
https://lifesupport.shop/i/foryou

撮影:菊池友宏

ブラゴクMAGAZINE #002

関連記事

ピックアップ記事

  1. ブランド創出の極意(ブラゴク)の『作る』カテゴリの記事 How to クラウドファンディングの メインビジュアル クラウドファンディングのプロセスを絵で表現

    2018-4-25

    How to クラウドファンディング

ブランド創出の極意 Facebook

ページ上部へ戻る