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今後のブランドビジネスのあり方

今回の特集では、女性ならではの視点によるプロダクト開発やコンサルティング、PRなどを通して、女性の生活や環境をハッピーにするための新しい提案を行っているMellia株式会社の原由記社長、松浦由紀副社長のお二人に、ブランド創出事業を展開する株式会社ファヴールマルシェ社長の山口恵市がお話を伺いました。

日々の生活がハッピーになるような商品や習慣を提供

山口 本日はよろしくお願いします。では最初に、何故お二人でMellia株式会社を立ち上げようと思ったのか、その経緯を教えていただけますか?

 私は、株式会社ジャパンゲートウェイで、商品PRの仕事を10年間担当し、執行役員として経営にも関わらせていただきました。いろいろな経験をさせていただく中で、自分の商品を作りたいという気持ちが強くなっていって、次のステップに進みたいと思ったんです。松浦とは3歳の頃からの幼馴染みで、以前から「一緒に何かやりたいね」と話していて、今回の立ち上げは、二人ともいろいろな経験を経て次のステップに進みたいというタイミングがちょうど合ったからなんです(笑)。

松浦 私はゴールドマン・サックス証券株式会社の債券部で、営業として11年、主に上場企業を担当していましたが、その際に、「いいモノを作る技術はあるけど世界に発信できない」とか、「表現の仕方が分からない」といったことを見てきました。そこで、良いモノを作って、みんなに響くような形で発信できたらなと思ったんです。また、いろいろな人と話をする中で、“女性だから”というように、自分自身にいろいろと制限を設けている人が意外と多いなと思ったんです。それを打破して、日々の生活が少しでもハッピーになるようなプロダクトや習慣を作っていきたいと思って、原と二人でMelliaを立ち上げました。

山口 幼馴染みだからこそ、ステップアップしたいと思ったタイミングが一致したのかもしれないですね(笑)。一緒に起業しようと決めてから会社を立ち上げるまでは、どのくらいの期間だったんですか?

Mellia株式会社
原由記 社長

 立ち上げまでは3カ月ぐらいです。ただ、ブランドを新たに創出するのは初めてだったので、ブランドイメージの確立から商品化まで、苦労しました。最初は、企画してから半年ぐらいで商品ができると思っていました。ところが実際は、商品化まで1年以上かかりました。

山口 やはりブランドを創りたいという想いからスタートされたんですね。

 そうですね。ただ、今回は物作りという形でスタートしましたが、松浦が言ったように、“日々の生活で皆さんにハッピーを届けたい”という想いが一番にあるので、その想いが実現できるのであれば、全然違うことでも挑戦していきたいと思っています。

山口 御社のHPには、「マーケティング、PR、商品企画、販売などすべてやります」と明記してありますが、それらは“ハッピーを届けたい”という想いからこそのもので、そのコンセプトに向けた一手が、今回はオリジナルブランドの商品を作るってことだったんですね。

松浦 そうですね。自分自身のマインドにいろんなブレーキをかけてしまっているのを取り払うことで、毎日が楽しくなることを提案していきたいと思っています。ですから、アウトプットの形は、商品でも考え方のスキームでも何でもいいんです。

 新しい習慣を取り入れたいなと思っている人たちをターゲットにして、私たちが背中を押してあげることで、その人たちの人生がよりハッピーになるのかなと思っています。

山口 なるほど。最初にお二人にお会いした時から思っていたのですが、何となく私と同じ感覚というか、同じ人種かなと(笑)。

松浦 ありがとうございます(笑)

山口 私は元々グラフィックデザイナーなんですが、きっかけとなったのは、高校生のときに、あるファッションデザイナーの記事を読んで、その人が流行を作っているのがすごく楽しそうで、興味を惹かれたからです。ただ、デザイナーとして10年ぐらい働いているうちに、言われていることをやっているだけという感覚に陥ってしまって…。それで転職を決意して、今はファヴールマルシェで商品を作って人を動かすことをしています。そこにはやはり自分で流行とか新しいライフスタイルなどを創りたいというのがあって。今お話を聞いていて、改めてお二人とは考え方が近いんじゃないかなと思いました。

 確かに人種的には同じかもしれないですね(笑)。今は特にすごくマスなものとパーソナルなものに二極化しているじゃないですか。モノもコトもそうですが、私たちは個々のパーソナルに合わせた商品や、それぞれが求めているものをセレクトできるようなことを提供していきたいです。

山口 HPでは、「400社以上の事業会社の経営層とのコネクション」とも謳っていますよね。そこが御社の武器だと思うのですが、前職でのコネクションも活かされていますか?

 もちろん今までのコネクションもあります。ただ、人との出会いはすごく大事だと思っているので、出来る限りいろんなところに顔を出して、多くの方と接点を持つように心がけています。

松浦 二人とも、フットワークが軽いですし、ご縁や出会いを大事にすることは自然とできているんだと思います。新しい人とお会いしてお話をするのは、いろんな発見があって面白いですし、そこからビジネスに繋がることも多いんです。

山口 なるほど。お二人はSNSをはじめ、メディアにも多く露出されていますよね。それは、多くの人と接点を持つという意味合いもあるかと思いますが、自身が露出することでMelliaのことを多くの方に知ってもらいたいとの考えもありますか?

松浦 はい、どんどん出ていきたいと思っています。あとは、私たちのリアルな生活を見ていただいた方が、消費者も実感が沸くと思うんですよ。

 今の時代、すごくいい商品でもどんな人が作っているか分からないことが多いじゃないですか。私たち自身がメディアに出て、SNSなどで情報を発信することで、どういう想いで商品を作っているかを知ってもらえると思うんです。

松浦 これだけモノが溢れている時代だからこそ、商品を作る経緯や開発への想いといった「ストーリー」が大事だと思っています。消費者は、その「ストーリー」に共感して商品を購入すると思うんです。ですから、私たちの想いはもちろん、購入してくれた人にこんな気持ちになってほしいというところまで発信していきたいですね。

Mellia株式会社
松浦由紀 副社長

純炭を取り入れた美容サプリを商品化

山口 確かに商品への想いなど、ストーリーを伝えると説得力が全然違いますよね。そこは弊社も大事にしています。御社では、現在、純炭サプリ『C6』と、『アイムラフロリア』ブランドのデリケートボディウォッシュ、フレッシュクリアシートを企画開発されていますが、この2商品にはどのようなストーリーがあるんですか?

 まず純炭サプリ『C6』については、二人とも忙しくて健康面でちゃんと考えることがあまりなかったんですけど、あるときAGEs年齢(体内年齢)を測る機会があったんです。そうしたら、私、実年齢は33歳なのに体内年齢が56歳だったんですよ(笑)。そんなときに、体にとり込みたくないものを吸着して排出してくれる炭と出会い、これを商品化したいと思ったんです。

松浦 私たちが作っている『C6』は純炭粉末が原料です。現代人は、着色料や保存料など余分なものを取り込み過ぎています。原が言ったAGEsというのは、終末糖化産物(Advanced Glycation End Products)、すなわち「タンパク質と糖が加熱されてできた物質」のことです。この糖化は「身体のコゲ」ともいわれ、老化を進める原因物質とされています。純炭粉末はそれを吸着して排出してくれます。実際、『C6』を飲んだら、体内年齢が下がったんだよね?

 半年で36歳まで下がりました。『C6』は一日に6~9粒飲むだけなので、気軽に取り入れることができると思います。あと『C6』を飲んだ人から一番多く聞くのは、腸内環境が改善したという声です。今、糖質制限ダイエットをしている方も多くいますが、炭水化物を減らすと悪玉菌が増えて発がん性物質が増えてしまうんです。でも、『C6』は善玉菌をつくるサポートをしてくれるので、発がん性物質を上げずに糖質制限ダイエットができます。

山口 今後、AGEsを測るイベントとかを一緒にできたら面白いですよね。それも、オシャレな形で実現できると、女性の間で広まって、そこから習慣化されていって…と、一つの文化を作れるんじゃないかなと思います。

松浦 ぜひやりましょう! 原料の純炭粉末は無味無臭なので、ケーキとかマカロンとかに入れて、オールブラックなものにして、アフタヌーンティーみたいな感じで楽しく測定イベントをやりたいですね。

多くの女性が抱えるデリケートゾーンの悩みを解決

山口 『アイムラフロリア』ブランドの、デリケートボディウォッシュとフレッシュクリアシートの着想はどういったところからですか?

 今は、美容の商材が数多くありますが、デリケートゾーンってすごく大事にしなきゃいけない部分なのに、体を洗うボディソープで一緒に洗っていて、きちんと意識をしていなかったなと思って…。そんなときに、ヨーロッパではお母さんが子供にデリケートゾーンのケアを教える習慣があることをキャッチしたんです。

松浦 日本人の20~60代の女性の60%以上が「デリケートゾーン 〇〇」というワードで検索していて、検索数が年々15パーセントずつぐらい伸びていっているんですよ。この2、3年で、いくつか商材が出てきましたが、まだまだブルーオーシャンなので、私たちが取り組むのに面白いマーケットだと思いました。

 せっかく女性だけで立ち上げた企業なので、女性ならではの悩みを解決できるような商材を作りたいと思って、今回デリケートゾーンケアの商材に挑戦しようと思ったんです。

山口 確かにグーグルトレンドでもデリケートゾーンに関連したワードは、今年に入ってから急激に伸びていますよね。

松浦 アメリカでは、20~60代の女性の80%以上がデリケートゾーンの脱毛をしているというデータもあるんですよ。

山口 以前、テレビ番組でサッカー日本代表の香川選手が、ヨーロッパの選手はみんな処理をしているという話をしていました。海外では男女問わず、当たり前のことなんですね。

松浦 そうなんです。それに脱毛だけではなくて、同じくアメリカの20~60代の女性の65%以上がデリケートゾーン専用のソープでケアをしているんです。でも、日本ではそういう習慣がないなと思ったのが、開発の一つのきっかけです。

山口 商品化にあたっては、どういったところにこだわりましたか?

松浦 デリケートゾーンのpH値は4~5ぐらいと言われていますが、肌に優しい弱酸性と言われているボディソープでもpH値が6~8ぐらいあるので刺激が強いんです。そこで『アイムラフロリア』のデリケートボディウォッシュは、デリケートゾーンと同じpH値で作りました。体への負担が少なく普通の肌も優しく洗うことができます。また、香りについても、マーケットに多い素朴な香りではなく、ローズの中でも一番華やかな香りがするイヴピアッツェローズの香りにして、トップノート、ミドルノート、ラストノートそれぞれできちんと香るようにこだわりました。

 パッケージも、デリケートゾーン専用というのが分かってしまうと恥ずかしいと思う方もいるので、スタイリッシュなデザインにこだわりました。デザイナーもMOMA(ニューヨーク近代美術館)で一番売れたポストカードをデザインした人にお願いしました。

山口 そういうところは女性が手がけるプロダクトだからこそというか、女性ならではのこだわりですね。

 フレッシュクリアシートの方は、個包装にして持ち運びの便利さや衛生面も考慮しました。サイズも使いやすい20㎝×20㎝にして、素材もコットン100%とこだわりました。商品化するにあたり、さまざまなシートを試して、保水率、保水性がどのくらいがいいのか調べました。また香りについては、賦香率にこだわり、使用後もほのかに香りが残るように作りました。今はデリケートゾーンケアに馴染みがない人が多いと思いますが、日本に習慣として根付かせていくという使命感もあります。

山口 先ほど、日本人の20~60代の女性の60%以上がデリケートゾーンについて検索しているというお話がありましたが、それだけ悩みを持っている女性が多くても、日本では気軽に誰かに相談できる環境ではないということなんですね。なので、御社の商品が普及して習慣化されて、普通に悩みを話せるような環境になったら素晴らしいことですよね。

松浦 そうですね。ぜひ、そういうふうにしていきたいと思っています。そして、先ほども申し上げた通り、海外のように子供のころからきちんとケアできるような習慣を根付かせていきたいです。

大々的なPRというよりも口コミで広げていく

山口 子供のころからケアするように習慣化するためには、まず今の大人の女性が普通に使うような状況を作る必要があると思いますが、PRについてはどのような戦略を考えているのですか?

 大々的なPRというよりも口コミで広げていきたいと思っています。こういう商材は、「ケアをしましょう」という伝え方よりも、「まずは使ってみよう」という方が取り入れやすいと思うんですね。例えば、フレッシュクリアシートはレストランのバスルームにサンプルを置かせていただくとか、生活習慣の中に自然に取り入れられるようなPR方法を考えています。逆にボディウォッシュ方は、サンプルを置かせてもらうよりは、接点が近いインフェンサーに使ってもらうなど、商品によって切り分けをしていきたいと思っています。

松浦 あとは、「新しい習慣を取り入れている私ってカッコイイな」と思ってもらえるように、ライフスタイルとして発信していきたいです。インフルエンサーの起用についても、そういう人たちをターゲットにして、「デリケートゾーン専用のソープやシートを使っている人ってオシャレだよね」「そういうライフスタイルって素敵だよね」というように仕向けていきたいなと思っています。

株式会社ファヴールマルシェ
山口恵市社長

山口 そうですね。弊社も今まではPRやプロモーションの部分は、ウェブしかやってきませんでした。しかし昨年、東京に本社を移したのを機に力を入れたいと思っていて、まずは御社のようにPRに強い会社さんと一緒にやりたいと考えています。ただ、どこから攻めていくのかがキーになると感じていて。最終的にこれぐらいの売り上げを作りたいというのがあったとしても、ピラミッドの下から攻めても上にはいけません。トップを取るためには、あえてPRの仕方を制限することも必要なんだなということを最近常々思っています。

 弊社もブランディングは大事にしていきたいと思っているので、PRについて、例えば雑誌広告でいうと、「この雑誌には出すけれど、この雑誌には出さない」ということは決めていこうと思っています。また、実店舗での販売は今回ISETAN MiRRORさんからスタートしますが、PR同様、販路についても間違えてしまうとブランドイメージが崩れてしまうので、ターゲットを意識した上で、二人で話し合いながら丁寧に決めていこうと思っています。

松浦 『アイムラフロリア』の「アイム」には、私がこれを選んだとか、私が決めているとか、世の女性たちに強い意志を持って自分が使うものを決めてもらいたいという想いがあります。日々、いろんなことを決断しないといけないシーンがあると思いますが、「自分の意志を持って自発的に行こうよ」という想いを込めたブランド名なので、そういう女性をターゲットにしています。ISETAN MiRRORさんは若い女性のお客様が多いですし、会社帰りにこの商品を一つ買うことで、「明日からまた頑張れる」と思ってもらえる商品の一つになればいいなと思っています。「デリケートゾーンの商材って今までなかったけど、ちょっとワクワクする」といった感じを持ってもらいたいですね。

商品のシリーズ化と、ECとリアルの融合

山口 昨年、会社を立ち上げ、商品開発も行っていますが、今後どのような展開を考えていますか?

 シリーズ化を進めていきたいと思っています。まだプロダクトのSKU数が少ないので、何年後になるか分かりませんが、アイムシリーズとして実店舗を持ちたいです。そして毎年美的好奇心をくすぐる商品を作っていきたいと思います。

松浦 「Melliaが発売する商品は切り口が違うよね」とか、「そんな習慣があるんだ」というふうに、新しい発見があったり美的好奇心をくすぐったりするような商品を発売していきたいです。店舗に関しては、ショールームみたいな形にして、商品を試してもらって、その場でiPadとかで注文していただく形もいいなと思っています。
あともう一つ考えていることがあって。先程も言いましたが、自分自身にいろいろと制限を設けている人が意外と多いと感じています。でも、発想や考え方、マインドセットを変えることで、もっと輝ける人っていると思うんですよ。そこで、講演やコンサルというとおこがましいですが、私たちが少しでもそういったお手伝いをできたらなと思っています。

原由記
Mellia株式会社 代表取締役社長

松浦由紀
Mellia株式会社 代表取締役副社長

2017年5月、女性ならではの視点で、日々の生活がハッピーになるようなプロダクトや習慣を作っていきたいとの想いから、幼馴染の二人でMellia株式会社を設立。現在、炭サプリ『C6』、『アイムラフロリアデリケートボディウォッシュ』、『アイムラフロリアデリケートフレッシュクリアシート』を企画販売している。
http://www.mellia-cosmetics.com/

山口恵市
株式会社ファヴールマルシェ 代表取締役社長

20歳で広告代理店にグラフィックデザイナーとして入社。自身が主体となってブランドをつくりたいと考え、ECを利用したブランドビジネスを行っていた会社に転職。2014年、株式会社ファヴールマルシェ設立の折に社長に就任。以後3年で生み出したブランドは約10件、商品は累計50点以上にのぼる。2018年6月に初の自著「ニッブランド革命━デジタルマーケティング時代のヒットの法則━」を上梓。
http://www.faveur-marche.com/

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