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インタビュー「IKIJI(イキジ) / 精巧株式会社」

専業メーカー4社が立ち上げたブランド
職人集団の技術が海外からも高い評価

2011年に、カットソーの精巧、ニットのテルタデザインラボ、革小物の二宮五郎商店、布帛シャツのウインスロップの4社で立ち上げたファクトリーブランド「IKIJI」。各社の強みを活かして商品を展開し、海外でも高い評価を受けている「IKIJI」について、精巧株式会社の近江祥子さんにお話を伺いました。

職人の街から生まれた「IKIJI」

精巧株式会社 近江祥子さん

━━「IKIJI」を立ち上げた経緯を教えてください。

近江 墨田区にスカイツリーができることが決まったときに、墨田区を幅広くPRして知名度向上とイメージアップを図るため、商品や飲食店メニューを認証してブランド化する「すみだモダン」というプロジェクトが立ち上がりました。その前身となる委員会が発足されたときに、墨田区から4事業者が委員に選出されたのですが、その中の一人が弊社社長の近江(近江誠氏)だったんです。委員として1年間、話し合いを進めていましたが、近江は委員会に参加する前から、ファクトリーブランドをやりたいという想いを持っていました。そこで、委員会をサポートしていた博報堂さんに相談したところ、博報堂デザインの社長である永井一史さんをご紹介していただきました。
私たちは専業メーカーなので、ファッションをトータルで考えた時に、一社ではブランドができません。そこで、各分野で高度な技術を持ったメーカーが集まれば、日本で一番のブランドになるとの考えと、江戸の粋、職人の心意気をコンセプトにしたブランド、これらの要素を内包したブランドを立ち上げたいと永井さんにお話ししたところ、「面白いから一緒にやりましょう」とお答えいただけました。これが「IKIJI」というブランドが生まれた経緯ですね。

━━ブランド化に向けて動き出す際、お声掛けする企業はどのような基準で選ばれたのですか?

近江 一緒にやる以上は、優れた技術を持つ企業とやりたいというこだわりがありました。もともと知っていた企業や、博報堂さんにご紹介いただいた企業にお声掛けしたら、皆さん「やりましょう!」と言ってくださいました。

各社の強みを活かして様々な商品を展開

━━「IKIJI」というネーミングやロゴには、どのような想いが込められているんですか?

近江 「粋事(イキゴト)」と書いて、「IKIJI(イキジ)」と読みます。下町の「粋」と職人の心意気や想いを込めています。ロゴは江戸時代に活躍した「山東京伝」という浮世絵師がつくった、梅の花を顔に見立てた「面の皮梅(つらのかわうめ)」というキャラクターをアレンジして使っています。「面の皮梅」は桜の花びらを四弁にして目、鼻を付けたらお多福面、甘酒を飲ませれば紅梅色という由来があり、身に付けているだけで幸せになるという意味が込められています。IKIJIの名前やロゴにも、そういった想いが込められています。

「PITTI IMMAGINE UOMO」出展が一つの転機に

━━PRやプロモーションは、どのようなことを行いましたか?

近江 基本的にPR・宣伝にはお金をかけていません。多くの方にブランドを知っていただくきっかけになったのはテレビです。IKIJIは、年2回、イタリアで行われる世界最大規模のメンズファッション展示会「PITTI IMMAGINE UOMO(通称:ピッティ・ウォモ)」に出展しているのですが、その様子をテレビで取り上げていただきました。その反響が大きかったですね。

━━どのような経緯で「PITTI IMMAGINE UOMO」に出展されることになったんですか?

近江 IKIJIを作ったときから、私たちの作った商品が海外でどれだけ評価されるのか勝負したかったので、海外に行きたいと思っていました。STOREのオープン時に、ある方から「PITTI IMMAGINE UOMO」のアジア地区のアンバサダーを紹介していただいたんです。
それで、お会いしたら「絶対に申し込みなさい」と言われて10月に合格の連絡をいただきました。「PITTI IMMAGINE UOMO」は世界中から約1,200のブランドが出展していて、申し込んだからといってすぐに出られるとは限らないんですけど、私たちは運よく1月から出展することができました。現在も継続して出展しています。

━━現地の方の反応はいかがでしたか?

近江 「ブランドコンセプトがしっかりしていてデザインに反映されている」、「商品のクオリティがしっかりしている」というポジティブな評価が多く、すごく嬉しかったです。この展示会がきっかけで海外からもOEMの受注を行うようになりました。ただ現状は一進一退で少しずつ進めているという感じです。ショールームとも契約していて、同じショールームに出展している他社ブランドやデザイナーから依頼をいただくこともあります。

━━IKIJIに参加している各社に個別に依頼が来る感じですか?

近江 まずはIKIJIに「こういうものは作れる?」という依頼が来ます。それが布帛(ふはく)だったらウインスロップさんに、革だったら二宮五郎商店にお話しするという感じです。

欧米の人たちに取り入れられる土壌を作る

━━商品を作る上で、海外を意識して工夫した点はありますか?

近江 もともと「欧米のライフスタイルに合わせた和のモダン化」というのが大きなコンセプトなので、海外に合わせた商品作りというのが根底にあります。単純に「和のもの」と言っても一過性で終わってしまうので、継続していくためには欧米の人が違和感なく取り入れられることのできる土壌を作らないといけないと考えています。

━━国内と海外の両方でOEMの受注をされていますが、海外ならではの大変さはありますか?

近江 やはり時間的な距離と、物理的な距離が一番大きいです。この2点が原因で実現しないことのほうが多いかもしれません。また、海外は担当者が変わることが多く、そのまま企画がなくなることも多いです。そういう意味では、「これから」という感じですね。

海外への販路、OEMを拡大

━━海外では何店舗に商品を置かれているんですか?

近江 メインはアメリカに3店舗ですね。

━━国内では両国と銀座の店舗ですが、土地柄、海外のお客様も多いのでは?

近江 そうですね。銀座店に限って言うと、平日でも海外のお客様は多いですね。特に中国の方が多いですが、同じ商品を色違いやサイズ違いでまとめて購入されるので、月によってはインバウンドの売り上げが全体の50%を超えることもあります。一度来店されて気にいってくださり、来日のたびに買いに来られる方もいらっしゃいます。両国の店舗の方は、あまりインバウンドは多くないですね。ただ両国国技館で大相撲が開催されるときはインバウンドが増えます。こちらは欧米の方が多いですね。

━━今後はどのような展開を考えていますか?

近江 もっと海外の販売先を増やしたいですね。少しずつ増えていますが、IKIJIの商品を継続して仕入れてもらうことが今の課題です。会社としてさらに成長していくためにも、IKIJIを通して日本製のものを海外に販売していきたいと思っています。また、弊社も含めて、皆さんOEM主体の会社ですので、海外のOEMもどんどん増やしていきたいです。

精巧株式会社
近江 祥子(おうみ さちこ)さん

IKIJI STORE
〒130-0021
東京都墨田区緑1-5-7
TEL.03-6659-6364
URL:https://ikiji.jp/

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