「毒になるものは薬になる」
学生時代に研究室の教授から聞いた言葉です。
原理は三段論法的に、
毒になる=何らかの作用をしている
作用がある=薬になる
ゆえに、毒になる=薬になる
です。
また、とある学会参加時に余談の中で「毒にも薬にもならない」という言葉を耳にしました。
化粧品は薬とは異なり何かの治療目的で使用することは稀ですが、なんらかの効果を期待して選んでいることでしょう。しかし、使用している中で思いもよらないトラブルに見舞われたことはありませんか?
今回はそんな時の対処法についてのお話です。
一番多いトラブルは赤みが出ることだと思います。こんな時どのように対処すれば良いでしょうか。最も行ってはいけないことは、良さそうな化粧品を色々と試してしまうことです。結果として、トラブルがより重症化し、そもそもの原因がわからなくなってしまう場合があります。
「原因を複雑化させないこと」
これが大原則です。
その意味で本来の最適な対処法は「何もせずに炎症が治まるまで待つ」ことですが、何も手入れをしていないと乾燥もしますし日焼けもします。また炎症がある部位に紫外線があたることで、炎症後色素沈着を招くリスクが上がるかもしれません。即ち、何もしないことは最適解ではありますが現実的ではありません。
現実的には、「トラブル時のスキンケアはできるだけ簡素に・トラブル解消を最優先に」をコンセプトとして、「保湿+日焼け止め」くらいのスキンケアは必要でしょう。保湿ケアに関して言えば、化粧水を頻度よく用いることをお勧めします。乾燥を防ぐ目的で乳液やクリームを使いたくなりますが、乳化系の化粧品には界面活性剤が使われているため、トラブルが起きている状態ではお勧めできません。乾燥する前に化粧水を重ねつける感覚で、水分を与えることがいいと思います。配合成分の種類が少ないものをお勧めします。
日焼け止めについては、トラブルがある際にはノンケミカル(紫外線吸収剤フリー)の方がいいのではないかと考えられます。また、高いSPFやPA値のものを選ぶ必要はありません。私自身は紫外線吸収剤自体は安全性の高い素材であると考えていますが、それはあくまでも健康な肌状態の時のことです。トラブルが起きている状態では安全性は担保できないのではないかという疑念があります。また、ノンケミカルで高い紫外線防御効果を得ようと思うと紫外線反射材を高濃度で配合しなければいけなくなります。結果として紫外線反射材が二次トラブルのもとになるリスクが上がってしまいます。
トラブル自体は誰にでも起こる可能性があります。一度肌トラブルが起きてしまうと、これくらいの対処は考える必要がありますが、本来は自分で何とかしようとせずに皮膚科で診てもらう方がいいでしょう。しかし、なかなか時間が取れない・近くに皮膚科が無いなど、すぐに診てもらえない場合を含めて、今回は応急的に簡単な対処法を述べさせていただきました。
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