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【第1回】教えて!阿部博士

創薬科学博士の阿部哲朗(アベ  テツロウ)です。
今回より業務に関連した気づきや思うところなどについて、「コラム」を通じて掲載することになりました。よろしくお願いします。

現在行っている研究開発の中には、他社様の広告や営業資料を精読し、参考や反駁するものがあります。
広告や営業資料における表現については、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)や景表法(不当景品類及び不当表示防止法)といった大人の事情で、資料に記載してある内容を見ただけでは納得できない場合が多々あります。そのため、私の中では広告物や資料を見た際に「とりあえず疑ってかかること」にしています。ただ、全てを否定的に見るのではなく、「こういう広告が目を引くんだろうなぁ」と、部分的には消費者目線で客観的に見ています。

疑ってみている根拠は、 資料として掲載されているエビデンスは実験データなので(改ざんされていない限り)基本的には正しい。しかし、そこから導き出された広告キャッチがエビデンスを正しく反映しているかは全くの別問題である、からです。

初コラムとなる今回は、消費者が広告から抱くイメージと実際の広告内容が一致しない例として「美白コスメ」をご紹介します。

薬用美白化粧品を使うと肌は白くなる?

さて、店販・ECどちらの市場でも人気がある美白コスメですが、長く使っていると肌は白くなるのでしょうか。いや、そもそも肌を白くすることが目的の化粧品なのでしょうか。

多くの方は、『美白コスメ=肌が白くなるコスメ』とイメージしている方が多いと思います。さらには『白くならない=効かない』と思われているかもしれません。

商品一つひとつの効果については述べませんが、私個人の見解を申しますと、全ての商品を通じて『肌が白くなる方もそれなりにいるが効果が感じにくい場合もある』と推測しています。その理由は、認められた効果効能と実際の作用の違いにあります。

これは美白以外の作用についても言えることですが、効果の判断基準は下記の3通りに分けられます。

①効果がある

②効果がない

③分からない/明言できない

この中で一番はっきりしているのは、①の「効果がある」です。医薬部外品のように『有効成分』と承認されていれば、効果があるでしょう。ただし、「効果がある」と漠然と表していても、

A:何%の人に効果があったか

B:何%程度の効果が出たか

については、はっきりしません。よって、「効果が認められた製品≠あなたに効果がある製品」という点には気を付けなければいけません。

逆に最も明言できないのが、②の「効果がない」です。アルミ箔のように物理的に肌に作用しない物質を除くと、「今あるデータからは効果がなかった」ことは分かっても完全に効果がないとは言えないからです。試験方法を変えたら効果が出ることも有り得るでしょう。
ということで、製品を初めて目にした際、その効果は③「分からない/明言できない」と捉えることが多いです。私が疑ってみている点がこの部分で「明言できないことを広告上断言できる筈がない」と考えているからです。

以上のことを踏まえて、今回の本題である「薬用美白化粧品を使うと肌が白くなるか」についてですが、現状の認められている効果からは「③分からない/明言できない」というのが回答です。

何故なら、そもそも薬機法における美白の定義が『メラニンの生成を抑え、(日焼けによる)シミ・そばかすを防ぐ』だからです。

つまり、これからできるかもしれないシミやそばかすを防ぐことに対しては①効果があると認められていますが、今できているシミを改善する効果については吟味されていないので、どれだけ効果が出るかは③分からない/明言できないというところが実情です。

美白化粧品の作用は「メラニンを作らせない」なので、メラニン由来の肌の黒みは改善される筈です。ただ、肌の色を構成している要素はメラニンだけではなく、肌の水分量・油分量・血流・皮下脂肪・角質の厚さなど多岐にわたるため、効果が感じにくい場合もあるでしょう。
また、この辺りが、肌を白くするという効果に対して、効く人・効かない人の差に繋がると思います。

このコラムをお読み頂き、「えーーっ! 今まで騙されていたー」と憤る方がいらっしゃるかもしれませんが、私を含め処方を考える人はエビデンスのある成分から各人がそれなりに効果があると判断した素材を配合していることがほとんどです。製品を購入される際に抱いたイメージに届くよう、期待して商品を開発しています。

阿部哲朗

阿部哲朗

投稿者プロフィール

・医療美容研究所 所長 / 博士(創薬科学)
・1979年6月26日生まれ、北海道出身。
・鹿児島大学理学部生命化学科卒業。
・北海道大学大学院生命科学院生命医薬科学コース修士課程修了。
・2018年3月、金沢大学大学院医薬保健学総合研究科創薬科学専攻博士後期課程修了。
 研究テーマは「植物に由来する健康機能性成分の探索」。
・趣味:将棋(四段)、スポーツ観戦 etc
・好きな言葉:①僕の前に道はない(道程より)
       ②人生=修行ナリ(S.O.W. センスオブワンダーより)

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