fbpx

インタビュー「株式会社マザーレンカ」

エビデンスに基づく健康系チョコレート
お客様の一言がきっかけで全国の調剤薬局で販売

ノンシュガーチョコレートをはじめ、健康系チョコレートは数多く販売されていますが、研究所のエビデンスがある「ドクターズチョコレート」は、医療従事者にも広く受け入れられ、調剤薬局で販売されています。商品の誕生経緯や販売戦略などについて、株式会社マザーレンカ代表取締役 池田貴子さんにお話を伺いました。

ベルギーのチョコレート研究所のエビデンスに注目

株式会社マザーレンカ 代表取締役 池田貴子さん

━━ドクターズチョコレートを開発した経緯を教えてください。

池田 ブランドライセンスビジネスに着目し、良い商材を探していたときに、スイスにあるチョコレートの原材料メーカー、バリー・カレボー社のことを知ったんです。一般にはあまり知られていませんが、有名ショコラティエブランドのチョコレートにも使われているので信頼できると思い、1年かけてライセンスを取得したのがスタートですね。
ベルギーにあるバリー・カレボー社の研究所では、常に新しい商品を開発していて、その中に健康系のチョコレートもあったんです。今ではよく耳にしますが、会社を立ち上げた2008年当時はほとんどありませんでした。しかし、すでにヨーロッパではチョコレートの健康効果に関する論文が発表されていて、「ファイトケミカル(ポリフェノール、シグニンなど食物性成分)」を摂るのが当たり前でした。それを見たとき、いずれ日本でもサプリメントや薬のように、健康に良いチョコレートという考え方が生まれると思ったんです。ただ当時は、健康系チョコレートの市場が全くなかったので、「ドクターズチョコレート」の商標登録だけして、まずは女性向けのブランド「銀座ショコラハーツ」からスタートしました。

東日本大震災の翌年、三越本店のバレンタイン企画として販売開始

━━2008年に商標登録後、発売までどのくらいかかったのですか?

池田 2009年にプランタン銀座で「銀座ショコラハーツ」の販売を開始したのですが、同時進行でベルギーの研究所とやり取りしつつ、甘味料の種類を調べたり、エビデンスについて情報収集したりして、ドクターズチョコレートの準備を進めました。
商品が完成したのは2012年です。2011年に東日本大震災が起こり、絆や思いやりを伝えられるチョコレートが良いという発想で、2012年の三越本店さんのバレンタイン企画に合わせて創ったのが「ドクターズチョコレート」です。ただ商品自体は自社で開発したのではありません。研究所で開発された商品の中から、私たちのコンセプトに合った安心安全な甘味料(マルチトール)のものを選び、ベルギー工場で作られたチョコレートの塊を輸入。再度日本では弊社独自の製法により、日本人にもっと美味しいと感じていただける風味、口溶け、深い味わいに仕立てあげて販売しています。

━━発売に際して、どのようなPRをなさったのですか?

池田 「ドクターズチョコレート」のコンセプトが調剤薬局でしたので、健康志向という面では三越本店さんの顧客層と合いました。ですから、三越本店さんのイチオシブランドととしてPR担当の方が積極的に告知・宣伝をしてくださり、発売する前から雑誌など、多くのメディアに取り上げていただきました。

━━コンセプトが調剤薬局なんですか?

池田 そうですね。というのも、チョコレートの歴史が関係しているんですよ。調べてみると、フランスのドゥボーヴ・エ・ガレというブランドが一番古く、王様のお抱えの薬剤師がチョコレートを調剤薬局で売ったのが始まりと言われています。そこから、薬のように目的に合わせて選べるチョコレートがあったら良いなと思ったんです。ですから最初はビタミンC入りのもの、ポリフェノール率の高いものなど、数種類のチョコレートを販売していました。その中で一番売れたのがノンシュガーチョコレート、今の「ドクターズチョコレート」のメイン商品なんです。
購入者は、糖尿病患者さんや予備軍の方はもちろんですが、都市型で健康志向の強い30代後半~40歳以上の女性が多いですね。ダイエットをしていて砂糖を気にされていたり、お子さんの虫歯予防を気にされていたり。でも一番は美味しいものを食べたいから、最高品質のベルギー産チョコレートを100%使用したドクターズチョコレートを選んでいただけていると思っています。

医療従事者からも高い評価を得ている「ドクターズチョコレート」

医療従事者も認めるエビデンスデータに裏付けられた製品

━━他社からもノンシュガーなど健康系チョコレートは発売されていますが、どのような点が違うのですか?

池田 一番はエビデンスデータがあるということですね。薬と同じように、ダブルブラインドクロスオーバー試験で実証しています。
例えば普通のチョコレートは砂糖が入っているので、食べると急激にGI値(食後の血糖値の上昇度を示すもの)が上がります。これに対してノンシュガーのものは、砂糖が入っていないから血糖値は上がらないだろうと思われるかもしれませんが、どんな食材でもカロリーがあるので食べれば血糖値は上がります。問題なのは、血糖値の上昇レベルです。血糖値が急激に上がって下がる「血糖値スパイク」の状態になると、糖尿病のリスクが高くなります。ドクターズチョコレートはフランスの第三者機関で、数値をデータとして調べていますが、一般的なチョコレートはGI値が91と高GI食品になりますが、ドクターズチョコレートはGI値がダーク26、ミルク36と、ブロッコリー、たまねぎ、トマトなどの野菜と同じぐらいです。低糖値でGI値が一定なので、「もっと食べたい」という、いわゆる血糖値スパイクのループにも陥りません。ここが他社商品との大きな違いであり、医療従事者に受け入れられている理由です。

他社にはない調剤薬局という流通ルートを開拓

━━ドクターズチョコレートは、他社にはない流通ルートして調剤薬局で販売されていますが、なぜ販売することになったのですか?

池田 きっかけは、お客様の一言でした。三越本店さんで販売した際に、当初はバレンタイン期間だけの予定でしたが、お客様からの要望が多く、地下の食品売り場で継続販売することになったんです。ただ、さすがに夏になると売り上げが下がるのでお休みしたんですね。今後はネット販売を充実させようと考えていたのですが、糖尿病を抱えている方から「薬局で売ってほしい」と言われたんです。そのとき、薬局での販売は、一つの手だなとハッと思いましたね。やり方によっては売れるのかなと。

━━しかし、調剤薬局で販売するのはハードルが高いですよね。

池田 そうですね。調剤薬局は全国に約57,000件、ドラッグストアを入れると約70,000件以上あります。コンビニより多いので、1軒ずつ営業をかけることはできません。流通費用を抑えるためには、流通網を持っている企業と組むのが一番です。
そこで、まずは千葉でホテルの社長をしていたときに知った薬の卸問屋へ相談しました。薬と一緒に持って行ってもらえれば、販売スタッフもいらないですし、流通費も抑えられます。何より、必要としている多くの人に届けることができると考えたんです。契約先の薬局へご紹介していただき、ダークとミルク合わせて37,000個からスタート。現在は、約10,000件の調剤薬局で販売されていて、糖尿病の患者さんなどからお礼のお手紙をたくさんいただきます。

病気に合わせた商品で、日本の抱える健康課題を解決したい

━━最後に、今後の展開について教えてください。

池田 もっと、病気に寄り添ってカスタマイズしたパターンの商品を出していこうと考えています。残念ながら日本は高齢化と少子化のスピード、そして長寿もナンバーワンですよね。このままだと介護の問題もあり、「長生き=不幸」みたいな社会になりそうで嫌なんです。ですから、未病に力を入れていきたい。健常者がチョコレートを食べ、楽しくセルフメディケーションしてほしいですね。

株式会社マザーレンカ
代表取締役
池田 貴子(いけだ たかこ)さん

株式会社マザーレンカ
東京都港区南青山6-12-3
南青山ユニハイツ502
URL:http://doctors-chocolate.com/

撮影:坂本康太郎

関連記事

ピックアップ記事

  1. ブランド創出の極意(ブラゴク)の『作る』カテゴリの記事 How to クラウドファンディングの メインビジュアル クラウドファンディングのプロセスを絵で表現

    2018-4-25

    How to クラウドファンディング

ブランド創出の極意 Facebook

ページ上部へ戻る