インタビュー「有限会社九南サービス タマチャンショップ」
- 2019/5/22
- 特集記事
- ブラゴク冊子002
- bragoku編集部
“美も健康も「食」で作れる”をコンセプトに商品を開発
お客様の声を聞き、自分が惚れ込んだ商品を販売
有限会社九南サービス タマチャンショップ
代表取締役 田中 耕太郎さん
━━タマチャンショップを立ち上げた経緯について教えてください。
田中 2003年に自社サイトを立ち上げ、2004年に楽天でのショップ展開を始めました。弊社は、もともと椎茸業が本業だったのですが、生産者が減って中国産がどんどん入ってくる中、宮崎だけで商売することが厳しいのではと感じていました。ただ社長である父は生産者を応援したいという思いを強く持っていたので、販路を拡大することが必要だと考えました。そこでインターネットを通じて全国へ販売しようと、タマチャンショップを立ち上げたんです。
━━現在はさまざまな商品を取り扱われていますが、運営を始めた当初はどのような商品を取り扱っていたのですか?
田中 近所に病院があったこともあり、健康を気にされているお客様から「こういう食品は扱っていないの?」といった問い合わせが多くなってきて、お客様の声に応える形で商品が増えていきました。椎茸業では自然のモノを扱うネットワークがあるので、いつの間にか自然食品が中心になっていったんです。
特に、がん患者の方から問い合わせが多かったβ-グルカンが豊富なキノコ類を多く取り扱っていました。他にも、いろいろな病気で悩んでいる方からお問い合わせいただいた商品を探して販売していました。
━━商品は生産者の方に直接会って仕入れているのでしょうか?
田中 はい。今は食に関する商品だけで約800点ありますが、基本的に全商品を私がプロデュースしています。私も健康志向が強く、自分で試して良いものを仕入れたり、他のものと組み合わせを試した商品を販売しています。自分の惚れ込んだ商品を販売していきたいという強い思いがあるので、昔からの付き合いがあっても、私が納得できないものはキッパリとお断りしています。
全て国産の雑穀米開発が売上拡大に繋がる
国内産の雑穀を30種類ブレンドしたヒット商品「三十雑穀」。
━━PB商品も多数ありますが、どのようなきっかけで作られるようになったのですか?
田中 立ち上げ当初は1日1~2件の注文しかなく、多くの人に受け入れられる商品を中心に仕入れました。広告の予算も割けず、他社などを見て売れているモノを入口にして、椎茸を用いた商品開発などを進めていったんです。
そんな中、本格的に商品を開発しようと思ったキッカケが「雑穀米」でした。健康に過ごすことが難しい時代に、雑穀米は炊くだけという手軽さがあると思ったんです。当時、1社だけ雑穀米を販売している会社があり、なぜ売れているのか徹底的に研究しました。そこで見つけたヒントが「国産である」ことでした。当時は海外産とのブレンド商品が主流だったので、メーカーに相談して国産の雑穀米を開発。さらに、雑穀の種類を16種類から21種類(現在は30種類)に増やし、価格を1,500円代に抑えたことで、1日1,000個ほどの注文に繋がりました。
雑穀米は毎日食べるものなので、その後もリピーターの方が2~3週間に一度のペースで購入してくれました。さらに、雑穀米と合わせて健康茶など他商品も購入してもらえるようになって、一気に認知度が上がり売上が伸びました。
食品の経験を活かし、コスメへの新たな挑戦
━━現在はコスメ関連の商品も販売されていますが、なぜコスメへの展開を考えたのですか?
田中 コスメと聞くと、表面的な印象が強いかもしれません。しかし実際に肌や髪の毛などを美しくしたいなら、内面を大切にする必要があります。あるとき、コスメを得意とする取引先の企業の方から「コスメも全て食品から作れる」という話を聞き、それなら、食品でどこまで人を美しくできるのか挑戦してみようと。食の力を知ってもらえば、もっと食に興味を持ってもらえるのではと考えました。
ですから、ただコスメを販売しているのではなく、きちんと食に繋がっているんです。これが、お肌に食べさせる栄養というコンセプトのコスメ商品『Hadamanma』が誕生した背景です。「内面と外面を整えることで初めて美容が作られる」というコンセプトなので、コスメと酵素とコラーゲンのセットなどを提案しています。「健康も美も全部、食で作れる」ことを感じていただきたいと思っています。
Hadamanma こなゆきクレンジングミルク Hadamanmaこなゆきフェイシャル
Hadamanmaとれたてベジローション Hadamanmaぜいたくベジミルク
自分たちの思いを体験してもらえる場所として実店舗を運営
━━御社の想いやコンセプトを伝えるために、サイトやLPの制作で工夫されたことはありますか?
田中 「何のためにその商品を世の中へ出すのか」。その情熱を商品が作られる段階から、開発担当者がデザイナーに伝えています。さらに素材として食の力強さをどう表現するかに重きを置いています。例えばダイエットを全面に打ち出すのではなく、その商品がダイエットに対して果たす役割にスポットを当てています。
また、健康食品の開発にかかる時間はかなり長く、1年構想のものもあります。そのため、必ず読本を作ることを徹底していて、今は100種類ほどあります。購入して頂いた後もケアやサポートをしていくことに注力しています。
見た目のデザインについては、あまり誇大的なことはやりたくないというのがデザイナーの考えです。どちらかと言えばトンマナ等をしっかり決め、土を触ってもらうような感覚のデザインを心掛けています。お陰さまで、楽天で「ショップ・オブ・ザイヤー」を6年連続で受賞させていただきましたが、受賞する2年前にデザイナーと相談して見直したんです。それが6年連続受賞に繋がった要因の一つだと思います。
━━2017年には「タマチャンショップ都城本店」をオープンされましたが、なぜ店舗展開を考えたのですか?
田中 お客様から、商品の原料のことなどお問合せをいただくことがあるんです。それなら、実際に商品を手に取ってもらい、自分たちの想いを体験してもらえる場所としてお店を作ろうと決めました。店舗があれば、どんなお問合せを受けても「お店に来てください」と言えますから。
2017年にオープンした「タマチャンショップ都城本店」。併設されたカフェでは、美容ドリンク「美カフェ」や手作りのローフードスイーツなどメニューも充実。
現在は鹿児島、博多、難波に3店舗あります。私自身、ときどき店頭に立つのですが、お客様と直接お話しする中で新商品が生まれることもあるんです。例えば、ミックスナッツも、お客様から「夏場に塩付きのモノが欲しい」という声があり、商品開発したものが10万袋のヒット商品になりました。
お客様の声から生まれたヒット商品「ななつのしあわせミックスナッツ(無添加)」
子供たちへの食育、そして日本食の良さを海外へ
━━今後のビジネス展開について教えてください。
田中 私には「しあわせ食を九州から日本全国へ届ける」という夢がありますが、今後は海外にも届けていきたいですね。日本食はもちろん、食を通じて健康や美容のことを伝えていくためにも、アメリカをはじめ海外に店舗を出すことも考えています。
また、食育的な子供向けの食品展開も考えています。今はアレルギーを持つ子供も多いですし、普段の食事から体質改善できる商品を開発して、若いうちから食への理解を深めてもらいたい。食はすべてに繋がっているので、いろいろなことに挑戦していきたいです。
有限会社九南サービス
タマチャンショップ
代表取締役
田中 耕太郎(たなか こうたろう)さん
有限会社九南サービス
タマチャンショップ
宮崎県都城市平江町44-3-2
TEL:0986-22-2852
URL:https://tamachanshop.jp/