インタビュー「KARITOKE / クローバーラボ株式会社」
- 2019/3/6
- 特集記事
- ブラゴク冊子002
- bragoku編集部
ウェブだけでなく店舗でのサービスも展開
ブランド腕時計を「借りる」という選択肢を
グループ会社のサービスにヒントを得て、ブランド腕時計のレンタルに着目
クローバーラボ株式会社 大正水流宣克さん(右)、土橋花梨さん(左)
━━スマホ向けゲームの開発などをされている御社が、ブランド腕時計の月額制レンタルサービス「KARITOKE」を始めたきっかけを教えてください。
大正水流 弊社はスマホゲーム開発などがメインでしたが、ゲーム会社というわけではありません。以前から中古品のECサイトを運営するなど、ウェブを通じて人が集まるコンテンツ開発が当社のコンセプトなんです。
土橋 ただスマホゲーム業界は浮き沈みが激しく、継続的にヒット作品を出し続けないといけません。そのため、何か継続して収益を得られる事業を生み出したいと、会社として考えていました。
そんな中、グループ会社の「leeap」というメンズ向けファッションの月額制レンタルサービスが好調だったので、メンズファッションのレンタルサービスは需要があると考えました。その中で意外性のあるものとして、腕時計というアイデアが浮かんだんです。
――最近は時計を付けない人も多いですが、サービスを始めるにあたり不安はありませんでしたか?
大正水流 確かに最近は腕時計を付けなくても、スマホで時間が分かります。若者離れなどもあり時計業界は落ち込んでいると言われることもありますが、実際の市場規模は減少しておらず、まだまだ根強い需要がある市場なのではないかと思いました。
土橋 そういう背景もあって、学生やビジネスマンなど100名くらいにアンケートを取ったところ、ブランド腕時計を買いたいけど手が届かない、知識がないから勇気が必要など、購入するにはハードルが高いことが見えてきました。
それと鞄や靴などと同じように、ファッション感覚で身に着けたいという人も多く、十分需要はあると思いました。
経営企画室 大正水流宣克さん
月額制でウェブ展開にすることで他社との差異化を図る
――他社でも腕時計のレンタルサービスはありますよね。
大正水流 そうですね。1回だけとか単発でのレンタルは店頭で行っているところがあります。ただ、他社さんでやられているサービスは、例えば3日間で10,000円とか、結婚式などの催事向けの利用を想定したものです。国内で月額制としては、「KARITOKE」が初めてだと思います。
土橋 またウェブで展開しているところがなかったので、弊社の開発という強みを活かし、ウェブで月額制というところが他社とは違う点ですね。
――実際のターゲットは、やはり男性になるのでしょうか?
大正水流 もともとはメンズ専用で、30~50代をメインターゲットにしていました。会員数は15,000人(2019年1月現在)を超えましたが、やはり30代後半から40代後半が多いですね。
土橋 ただ、最近は女性からも利用したいという声が出始めていて、少しずつ女性向けの商品も取り揃えています。女性の会員はだいたい全体の1割ほどで、年齢層は男性とほぼ変わりません。
さまざまなニーズに応える4種類のプラン提供
――サービスの仕組みや内容について教えてください。
大正水流 「カジュアル(3,980円/月)」「スタンダード(6,800円/月)」「プレミアム(9,800円/月)」「エグゼクティブ(19,800円/月)」の4つのプランをご用意しています。基本的にプランの違いは取り扱っている商品のみとなります。期間は無制限で月1本の交換が可能です。
カジュアルプラン(3,980円/月)
スタンダードプラン(6,800円/月)
プレミアムプラン(9,800円/月)
エグゼクティブプラン(19,800円/月)
――お客様一人ひとり手首のサイズが違いますが、サイズ調整はどうされているんですか?
大正水流 そこは悩みました。靴や洋服と違って、自分の手首のサイズは知りませんからね。私たちは手首に1円玉を置いてもらった写真を送ってもらい、弊社で採寸してきたデータを元にサイズ調整しています。
また初回の郵送時にメジャーを同封してお客様に手首を図っていただくので、2回目以降はぴったりのサイズでお送りしています。
――どのプランが一番人気があるんですか?
土橋 最初は、料金が一番安いカジュアルプランから利用される方が多いと思っていたのですが、サービスを開始すると一番高いエグゼクティブプランが一番人気があります。やはり、レンタルするなら自分ではなかなか購入できないブランド腕時計を付けたいという方が多いんだと思います。
ECからリアルに展開し認知度がアップ
経営企画室 採用広報 土橋花梨さん
――サービスを周知してもらうのに、どのようなPRやプロモーションを行われたんですか?
土橋 最初はメディアを回るなど広報活動のみで展開していきました。そこから、少しずつSNSに広告を出して広めていったんです。
大正水流 プレスリリースを打ったときに、国内で初めてのサービスということで、取材依頼が入るなど反響がありましたね。そこからお客様の口コミなどもあり、少しずつ広がっていきました。現在はターゲットを絞って広告を打つ戦略で進めています。
土橋 あと、新聞の記事を見て丸井の担当者さんが連絡をくださり、店舗を出したことも大きかったですね。
大正水流 丸井さんに店舗を出させていただいたことで、認知度と信用度が上がりました。ブランド腕時計の良さって、やはり手に取ってみると伝わりますから。今は新規のお客様の約3割が店舗から借りています。
土橋 店舗を出すことはサービス開始前から計画していたんです。実際、一昨年の6月にサービスを開始して3カ月後に心斎橋に店舗をオープンしました。ただ、丸井さんからお話を頂いたこともあり閉店したんです。
大正水流 ウェブを見て、店舗で試着してからレンタルされる方も多いんですよ。それにウェブでレンタルした時計を店舗に返却することも可能なので仕事帰りに寄られる方もいらっしゃいます。
有楽町マルイ「KARITOKE」。なんばマルイでも展開。
「KARITOKE」「KASHITOKE」の認知度を広げたい
――昨年から新たに、お客様の持っている時計をレンタルする「KASHITOKE」というサービスをスタートされていますね。
土橋 はい。実は、このサービスも「KARITOKE」をスタートする時点で構想の中にあったんです。よりシェアリングエコノミーに近づけるためにも、複数本持っているお客様からご提供いただこうと。
まずは時計を鑑定させてもらって、どのプランに当てはまるかチェック。メンテナンスして他のお客様に貸し出しています。そして借り手がついたら、元のお客様へキャッシュバックします。
――最後に、今後の展開について教えてください。
大正水流 現在は東京と大阪の2店舗だけなので、もっと多くの人に認知してもらうために、例えば全国をキャラバン的に回って店舗出店のようなことができないかと考えています。若い方ならウェブの方が良いかもしれませんが、もう少し上の年齢層になると、やはり実際に見てご納得いただくことは大切だと思っています。
土橋 まだ時計は「買うもの」というイメージが強いので、「借りられる」という選択肢を増やしていきたいです。そのためにも、「KARITOKE」「KASHITOKE」の認知度を広げたいです。
クローバーラボ株式会社
経営企画室
大正水流 宣克(たいしょうずる のりかつ)さん
経営企画室 採用広報
土橋 花梨(どばし かりん)さん
クローバーラボ株式会社
〒531-0072
大阪府大阪市北区豊崎5-6-2
北梅田大宮ビル6F
TEL:06-6136-5888
URL:http://cloverlab.jp/
撮影:菊池友宏