インタビュー「MEDULLA / 株式会社Sparty」
- 2018/11/28
- 特集記事
- ブラゴク冊子
- bragoku編集部
自分だけの商品とは、
その生き方に寄り添うもの
7つの質問だけで届く、 パーソナルなヘアケア商品
株式会社Sparty 深山 陽介さん
━━まず、「MEDULLA」について教えていただけますか。
深山 はい、ウェブ上で7つの簡単な質問に答えて、お客様自身にあったシャンプーをオーダーメイドで定期購入できるサービスです。色と香りは5種類あり、質問の回答によって、処方の組み合わせは100通り以上あります。
━━何故このサービスを始めようと思ったんですか?
深山 実は私の妻がクセ毛で悩んでいて、ヘアケアグッズを色々買っては試すというのを繰り返していました。SNSで調べると、“シャンプー難民”という言葉があり、自分のシャンプーの選択に悩んでいるといった声も多く目にしました。ウェブ上でも、ドラッグストアの店頭でも「どう選ぶの?」というくらいヘアケアグッズがいっぱいありますよね。
今の我々の接触行動ってインスタのストーリーのような形で、タップすれば自分の欲しい情報がどんどん入ってくるみたいな世界観だと思うんです。今の女性たちはたくさんの選択肢が欲しいわけではなくて、シンデレラのガラスの靴のような、「自分がそれで変われる魔法」を提供してもらえれば満足するんですよ。そういったところから、ウェブ上で簡単な質問に答えるだけで、自分にぴったりのヘアケアグッズが届くようにと思って始めました。
━━どのような点にこだわりましたか?
深山 先に述べたように、シンデレラの靴をコンセプトに考えています。ですから、7つの質問に答えるだけで“あなただけの魔法”が手に入ると思って頂けるよう、UIとUXについて、ものすごくこだわって作りました。
たくさんの選択肢ではなく、自分だけの“魔法”を
━━質問を7つに絞ったのは何か理由があるのですか?
深山 いろいろ検証したのですが、質問を細かくしていくと、逆に混乱して答えられなくなってしまうんです。そこから行き着いた最適な数が「7」という数字でした。
━━ただ、7つの質問で対応できないお悩みもあるのでは?
深山 そこで購入後には、担当の美容師さんがついて、購入者へ個別にフィードバックのコメントを送っています。購入者の方は、たとえば頭皮の洗い心地や指通りなど、実際に使ってみた感想をご回答いただけるようになっていて、そこから再度カスタマイズをします。
一回買って終わりではなく、どんどんカスタマイズを重ねていって、よりお客様にあった処方を提供できるようにしています。
━━購入してからも、さらにカスタマイズができるのですね。
深山 はい。また、製品自体もブラッシュアップを重ねています。5月22日に発売して2カ月経ちますが、お客様のご回答をもとに、すでに泡立ちや香りの改良を行っています。
他にも、当初は2カ月に一度の定期でしか購入できなかったのですが、ロングヘアのお客様から「この量では2カ月はもたない」というご意見をいただきました。そこで、1カ月毎でも選択できるように、ヒアリングの2週間後には改善しました。商品やサービスの改善は、IT企業レベルのレスポンスの早さを目指しています。
「体験やライフスタイルを発信
━━ブランドのPRは、どのように行ったのですか?
深山 リリースにあたって、メディア関係者向けと、インフルエンサーの方向けの2部制で発表会を行いました。実際に「MEDULLA」を体験いただくプログラムもご用意したのですが、お客様に自分自身が「変わった」という実感を持っていただけたので、よりリアルな投稿をしていただけたなと。
発表会の反響は大きく、色々なメディアで取り上げていただきました。現在、オーガニック検索からの流入で新規顧客を獲得できているのも、この発表会の成功から繋がっていると感じています。
━━実際のサロンとも提携されているそうですね。
深山 はい。ECでシャンプーを購入するときは、香りも使用感も分からないまま購入していますよね。しかし私たちはサロンと提携することで、お客様にサロンを「体験の場」としていただくことが出来るんです。これは、ECでの購入体験の価値向上にも繋がっていて、実際、お客様の反応も良いんですよ。今展開しているエリアは原宿や表参道が多いのですが、今年度中に全国で100店舗に拡大したいと考えています。
━━今後の広報戦略を教えてください。
深山 ファンマーケティングを意識していて、今後取り組みたいことは3つあります。1つ目は、お客様とのコミュニケーションを大切にするために、定期的なイベントを開催すること。内容は髪をキレイにするための催しや、座談会などです。これは既に行っていますが、商品開発にも役立っています。
2つ目は、愛用者の魅力的なストーリーをウェブメディアで発信すること。そもそも「MEDULLA」とは、髪の毛の芯を意味し、そこから「芯が強い女性を応援する」ということで、商品名にしています。そこで、芯が強く頑張っている女性を紹介し、製品のあるライフスタイルを提示していきます。
3つ目は、その発展形として、Instagramのストーリーなどを活用して、よりリアルに商品と、商品をイメージしたライフスタイルを訴求していこうと考えています。9月からは、製品に因んだドラマをインスタ上で展開する予定です。より将来的な構想でいうと、インフルエンサーに「MEDULLA」のあるリアルな生活を発信してもらう「ライフスタイルショールーム」といった次世代型オムニチャネルECのようなものを構築出来ればと思っています。その商品がどういう生き方、ライフスタイルに繋がるのかを提示してあげないと他の商品に埋もれてしまうので、ライフスタイルの見せ方をどう作っていくかが重要だと思っています。
ゆくゆくはOEM基盤へと発展させたい
━━「MEDULLA」の次の展開も教えてください。
深山 ヘアカルテと購買データの活用が重要だと考えています。大手ブランドでは、商品を市場へ投入したものの、購買データやPOSデータはきちんと取れておらず、商品開発は調査ベースで…という現状になっているところがあります。一方、私たちは自社ECを通じての販売だけですので、全購入者のヘアカルテと購買データを把握できており、購入者からのフィードバックもダイレクトに届きます。そのため、データ取得・コンサル体験の高度化が図れるという強みがあります。今後はサロンに、例えば、タブレットを使った頭皮診断のようなサービスも取り入れて、より細かなデータ取得の行動化に繋げて、それを元にアップセル商材の開発なども展開していこうと思っています。
また、これはまだ妄想のような段階ですが、将来的には「MEDULLA」で構築したノウハウを、ヘアケア商品のOEM基盤へと発展させたいと考えています。例えば、芸能人が自身でヘアカルテを入力して、デザインを入稿すれば、簡単に自分のオリジナルブランドを在庫リスク無しで作れて、オンライン上で簡単に販売できるといった、誰でも消費財ブランドを販売できるような基盤を作れたらと思います。
━━最後に深山様が考える、ブランド戦略に求められるものについて教えていただけますか?
深山 今って耳障りの良い情報が溢れていて、「もう何も聞きたくない」っていう状況の方も多いと思います。その状況を打破するには、お客様に合った最適な体験へ導き、最適なものを常に提供出来るかだと思うんです。店頭にいる美容部員さんがやっているようなことをデジタルに落とし込んで、お客様へ安心感のようなものをいかに継続的に提供できるかが重要だと思います。ですから、商品自体だけではなく、商品に行き着くまでの導線も含めて「ブランド」だと考えています。そこがしっかり作れるかが、今後強いブランドになれるかどうかだと思います。
株式会社Sparty
代表取締役社長CEO
深山 陽介(みやま ようすけ)さん
株式会社Sparty
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