How to 商品化― 商品化するまでのプロセス
- 2018/4/24
- つくる
- bragoku編集部
本記事では、基本中の基本ではありますが、そもそも世の中に「商品」が生まれるまでにはどういったプロセスがあるのか、について取り上げます。
1.マーケティング― マーケティングでアイデアを!
商品を作ろうとした時に、スタートは大きく分けて2つのパターンがあります。
1.「こんなモノを作りたい!」というアイデアが有る場合
2.特にアイデアは無いものの、オリジナル商品を作りたい場合
どちらの場合にしろ、欠かせない大事な工程が「マーケティング」です。
まず、「こんなモノを作りたい!」というアイデアが明確にある場合ですが、「良いものだから売れる自信はある!」と思っていたとしても、客観的に見て売れる確証がないものを商品化するのはリスキーです。
商品を作るにあたっては、「売れるかどうか」=「需要があるかどうか」を考える必要があります。
また、「特にアイデアは無いけれど…」という場合も、需要を探る上で、「世の中にはどんなものがあり、どういったモノが売れているのか」を探ってみると、商品企画のヒント=アイデアにも繋がります。
という訳で、まずは「マーケティング」からスタートです。
● 今トレンドになっているモノはなにか?
● 今売れているモノはなにか?
● どれくらい売れているのか?
● 何社くらいが同様の商品を出しているのか?
● 何故売れているのか?
というように、まずは今のマーケットについて探る、市場調査を行いましょう。
そしてそこから、「今売れているモノには何が足りないのか」、「こういう機能があればいいのでは?」、「自分ならこういう風なアプローチで……」などを検討し、「商品化してもよいかも」と思えるアイデアを複数出します。
なお、このアイデア出しについても下記の2つに分けられます。
マーケットイン
市場のニーズから発想を得る方法。「消費者が必要としているもの」をカタチにしようとする。
プロダクトアウト
技術や素材など、製品から発想を得る方法。企業側が新素材や新技術などを元に作りたい! と思って作る。
マーケットインに比べて、プロダクトアウトは「企業側の都合有りき」として、敬遠されるきらいがありましたが、最近では提供する側である企業が適切な提案をどんどん行うべきだ、として見直されています。
マーケットイン、プロダクトアウトのどちらかにとらわれるのではなく、柔軟な発想でどんどんアイデアを出していきましょう。
2.商品企画― そのアイデア、使える? 具体的な計画を練り、企画書にしよう!
次はアイデアをもう少し具体的に煮詰めていきます。なんとなく「良さそうかも」と思ったアイデアをより踏み込んで、カタチに近づけていくために「企画」としてまとめていきます。
ターゲット、コンセプト、ポジショニングを決める
思いついたアイデアについて、「5W1H」でより具体的にターゲットやコンセプトについて考えてみましょう。「5W1H」はいろんなビジネスシーンでよく聞く言葉ですが、改めておさらいすると、
● When…いつ
● Where…どこで
● Who…誰が
● What…何を
● Why…なぜ
● How…どのように
の5つのWと1つのHから成り立つ情報伝達・要点整理のポイントです。
これを考えるだけで、「誰がどんなシーンで何のためにその商品を使うのか」が明確にイメージできます。
例として、「天然パーマの髪質に向けたヘアオイル」を5W1Hに落とし込んでみましょう。
● When…雨の日に
● Where…自宅で
● Who…天然パーマに悩む人が
● What…ヘアアイロンやコテなどの器具を使わず、ヘアオイルのみで
● Why…うねりを防ぐために
● How…ヘアサロン帰りのようなサラサラな髪に仕上げる
どうでしょう、グッとイメージしやすくなったのではないでしょうか。
ただ、これだけではまだ不十分です。
次は商品設計として「商品の仕様」について考えてみましょう。
● 効果/成分
● 価格
● 容量
● 商品名
● パッケージデザイン
● ブランド名
これらについて考えると、アイデアがより「商品」として具体的にイメージが出来ますよね。そこで、このアイデアを「企画書」にまとめましょう。
アイデアは、それだけではふわふわとした実態のないものです。それを、より明確にし、かつ有効性がある――と他の人に判断してもらうために、客観的に見ても分かるカタチに落とし込むものが「企画書」です。
客観的な判断材料とすべく、企画書の内容としては下記のような内容を盛り込みましょう。
現状の分析
「何故そのアイデアが有効なのか」を裏付けるための内容として、市場の現状や動向などについて示します。
企画の意図、目的
先に述べた現状から、どういったニーズが有るについて着眼し、どのような意図で企画を行いたいのかについて示します。
商品概要
企画した商品の概要を記載します。ターゲットやコンセプトなどについて示します。この時点で、ある程度デザインの方向性も決めておき、大まかに容器仕様なども決めておきましょう。
収支計画 (コスト算出、売上予測)
新商品を作る上で、必要となる経費(開発費や材料費、人件費、流通コストなど)や、その費用を回収できる見込み(目安)などを示します。
展開スケジュール
製造に必要なスケジュールや、販売計画について示します。
このように、マーケティングやターゲット・コンセプトの選定、商品設計に加え、販売戦略についても検討することで、コスト的にも実現可能なものかどうかの判断することが出来ます。
商品を作る上で肝となるのは、この「マーケティング」~「商品企画」フェーズです。企画書にどんどん落とし込んで、アイデアをブラッシュアップしていきましょう。
また、その際は「商品をより売るための仕組みづくり」について意識しておくことが成功の秘訣です。
商品に対して消費者が、共感性や愛着を覚えると、その商品は何もしなくても売れていきます。
そのために、より「ニッチ」な付加価値を演出できるよう考えてみましょう。
例えば、「日本初」などと”新規性”を謳ったり、「独自開発」と”独自性”を謳ったりして、差異化を図ることを意識することが、「ニッチな商品」の開発に繋がるので、商品そのものだけでなく、「どのように伝えるか・売るか」ということも意識しましょう。
3.商品開発・製造― カタチにする
さて、いざ開発! です。試作品を作りましょう。
試作品といっても、中身だけを作るわけではありません。容器、ラベル、必要ならば化粧箱も必要です。
容器・外箱のデザインなどは、商品発注の時点で確定していなければならないので、忘れずに!
各工場など外注先に試作を依頼しますが、スムーズに進行するためには、工場の選定も大切です。工場の実績や得意分野、品質管理や製造管理がしっかり行われているかも確認しておきましょう。また、品質に関して化粧品やサプリメントの場合などは、GMP(医薬品製造適性基準)認定を受けているかどうかもひとつの基準となるので参考にしてください。
そして出来上がってきた各試作品を吟味し、商品仕様を決めます。
使用感も、購入者がリピートするかどうかを決める重要な要素の一つです。しっかりと比較、評価して吟味しましょう。
企画フェーズで、ある程度は商品仕様についてイメージしていたとはいえ、試作品を作ってみると、「うーん、ちょっと違うかも…。ここはこうした方がいいな」といった点が発生したりしますよね。このように、カタチにして初めて見えてくることもあるので、どんどんブラッシュアップして、商品として「これでOK!」と言えるように、仕様を決めます。
そして、試作品を経て、商品仕様が確定したら、いよいよ量産です。
工場へ発注して生産する、販売先を探す、販路を確保する、ECサイトを準備する…などなど、やることは山積みです。納品されるのを待つ間に販売に向けて、色々と動き回りましょう。
4.市場投入― まずは知ってもらうことから
こうして無事に出来上がった「商品」ですが、世の中に商品の存在を知ってもらわなければ、買ってもらえるはずがありません。そこで、商品が出来たこと、どんな商品なのかを「伝える」必要性があります。
――こちらについては、「伝える」コンテンツで今後お話していくので、ぜひそちらをご確認ください。