猛暑や残暑が過ぎ去り、やっと秋っぽく(※あくまでも私のイメージです)なってきましたね。何故か毎年この時期になると体が痒くなるのですが、今年は特に痒みメガ盛り中です。何か塗っても痒い、塗らなくても痒い…肌は丈夫な方の筈なんですけどね。
さてさて、なんとなーく良さげなイメージの無添加化粧品。そもそも何が無添加かという突っ込みはありますが、どの程度肌に優しいのでしょうか。カテゴリーの幅が広すぎるため、防腐剤に的を絞って考えてみます(他の無添加についてはまたの機会に)。
防腐剤の配合目的は読んで字のごとく、「腐敗を防ぐ」ことです。防腐剤を配合することで製品が劣化しにくくなります。劣化の原因には腐敗の他に酸化がありますが、こちらは防腐剤の対象外です。防腐剤は雑菌の繁殖を遅らせることで腐敗を防いでいます。
【疑問】防腐剤は肌にとって不要な成分なのか?
肌表面には無数の雑菌が存在しています。善玉菌・悪玉菌・日和見菌、個々人によって菌種が異なりますが、全く無菌ということはありません。それぞれの菌が一定の割合で常在しています。ここに雑菌の繁殖を防ぐ成分を添加するとどうなるか。恐らく防腐剤に強い菌だけが増殖し、現在の菌バランスが変わってしまうと考えられます。特に繁殖スピードは「悪玉菌>>>善玉菌」のため悪い方に傾く可能性が高くなると思います。
このように表現してしまうと「絶対入れない方がいい!」と読み取れてしまいますが、実際には配合率の制限などがあるため肌の菌バランスを変えるほどの作用はないものと考えられます。
以上のことから、化粧品には防腐剤を配合しない方が肌に優しい……と結論付けたいところですが、大事な考察が抜けています。
それは、「防腐剤は化粧品にとって不要な成分なのか?」ということです。
私の見解は「場合によっては必要」です。
防腐剤そのものが肌にとって不要なものでも、劣化した化粧品は肌にとって悪いもの。化粧品を劣化させないためには防腐剤が必要なことが多いです。『でもでも防腐剤フリーの化粧水や美容液はいっぱいあるよ?』と思われるかもしれません。特定の成分を組み合わせることで、品質を保持させる程度の防腐力を持たせることは可能です。しかし、それでは不充分な場合はやはり防腐剤の力を借りなければいけません。
例えば、口元に使うグロスや目元に使うアイラッシュなどは、使用後に雑菌が混入する可能性が極めて高くなっています。目や口は雑菌の宝庫であることと、これらの製品ではチップなど容器の一部を容器に戻すことが多いということが防腐剤を必要とする理由です。同様に洗面台や浴室に置きっぱなしになるような製品も防腐剤が必要だろうと私は考えています。
今回のお題、「防腐剤フリーは肌にとって優しいの?」についてまとめると、
肌にとって優しい場合が多いが、保管方法や用途によってはリスクになる場合があると考えられます。
「肌に必要な成分以外は配合しない」というコンセプトは分かりやすい上にイメージも良いと思います。ただし、「何が必要で何が不要か」、「製品の品質維持に必要か」、この2点をクリアにしないとイメージだけで終わってしまうでしょう。イメージは製品を企画立案している際から重要ですが、それを後押しするロジックも同時に重要になると意識しています。
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