*1認知機能速度:脳と身体が情報や物ごとを理解して反応する速さを表し、運動量とともに、身体活動量に相関する。
*2運動速度:運動速度が低下すると、体の運動機能が低下している可能性がある。
■研究の目的、実施方法
寿命と健康寿命の差異、すなわち健康上不具合を抱えながら生活する期間は、日本では男性が約9年、女性が約12年あるとされています(図1)。また、脳は、運動、知覚など神経を介する情報伝達において最も重要な組織であるとともに、感情、情緒、理性などの精神活動においても重要な役割を果たします。
今回の臨床試験では、ユーグレナ粉末の継続摂取が脳の状態とそれに由来する健康課題にどのように影響するかを確認すべく、年齢が50歳以上70歳未満の健康上問題のない閉経後の女性62人を対象に、朝昼夕食後の1日3回1 gずつ、ユーグレナ粉末もしくはユーグレナの含まれていないプラセボ粉末を24週間継続摂取してもらい、摂取前および摂取開始後24週目までの期間中に、①血液検査、②脳と身体の動き(認知機能)に関するテスト、③心理的な健康状態等に関する質疑を行いました。なお、試験は二重盲検プラセボ対照比較試験*3で実施しました。
*3二重盲検プラセボ対照比較試験:試験を行う評価者(医師・スタッフ)と被験者の双方が、それぞれのグループがどの試験食を食べているのかわからない状態にして行う試験。より信頼性が高い結果が得られるとされている。
■結果
ユーグレナ粉末を継続摂取することで、以下の結果が示されました。
① 脳細胞の増加に不可欠なたんぱく質である血中のBDNFの上昇
② 脳からの指令で身体が動く速度(認知機能速度・運動速度)の向上
③ 健康関連QOL(生活の質)としての心の健康スコアの改善
試験内容の詳細は以下のとおりです。
①血中BDNF値の上昇
血中の脳由来神経栄養因子(BDNF)量を測定したところ、プラセボ粉末を摂取したグループに比べ、24週目の血中のBDNFの変化量が有意に上昇しました。
②脳機能における認知機能速度と運動速度の向上
言語、視覚、情報処理能力など7項目のテスト*4で、脳機能における認知機能速度および運動速度に関する測定を行った結果、認知機能速度は12週目でユーグレナ摂取群のスコアの変化量がプラセボ摂取群に比べて有意に上昇しました。また、運動速度に関しては、ユーグレナ摂取群において12週目、24週目のスコアの変化量が有意に上昇していることを確認しました。
*4 Cognitrax(コグニトラックス)というパソコンを用いた認知機能検査で測定している。
③心の健康スコアの改善
過去1か月の健康状態や普段の活動について質問を行い、主観的に感じる日常生活での心理的な健康感のスコアを算出*5しました。その結果、ユーグレナ摂取群における6週目、12週目、24週目の心の健康スコアの変化量が、プラセボ摂取群に比べて有意に改善しました。
*5 SF-36にて測定。SF-36とは、36項目の質問から構成される健康関連QOL(生活の質)の測定方法のこと。心の健康については、スコアが高ければ「落ち着いていて、楽しく、おだやかな気分になること」を、スコアが低ければ「いつも神経質でゆううつな気分であったこと」を表す。
<微細藻類ユーグレナについて>
微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)は、植物と動物の両方の特徴を持ち、ビタミン類やミネラルなど豊富な種類の栄養素をバランス良く含む藻の一種です。2005年に株式会社ユーグレナが世界で初めて食用屋外大量培養に成功しました。
以上